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仏紙ルモンドは14日付の記事で、過去1年間に中国の警察がボーイズラブ(BL)の作者、とりわけネット上の女性創作者を厳しく取り締まってきたと指摘した。
仏紙ルモンドは14日付の記事で、過去1年間に中国の警察がボーイズラブ(BL)の作者、とりわけネット上の女性創作者を厳しく取り締まっていると指摘した。
同紙によると、男性同士のロマンス(ブロマンス)を描いた若い女性作家が警察に連行された上、尋問では作品の内容、性的指向、性行為の詳細などの説明を求められる事例があった。同紙は、「彼女が創作したのは『耽美』と呼ばれる種類の小説。これは日本の『ボーイズラブ』文化に由来するもので、近年、中国で急速に流行している」と説明。一方で「中国ではこのタイプの文学は当局に受け入れられていない。現行の法律では『わいせつ要素』を含む内容はいかなるものも違法であり、こうした『耽美小説』は往々にして露骨な描写が含まれているため違反とみなされることが多い」とした。
その上で、「2024年以降、中国の警察が全国的に大規模な取り締りを行い、数十人の作者が拘束されている。その多くは台湾のプラットフォーム『海棠』を通じて有料小説を発表している。このプラットフォームは中国では『壁を越える(中国のインターネット制限を突破する)』ソフトでしかアクセスできない」と解説。「拘束された女性作者らは往々にして収入を全額没収される上、高額な罰金を払わなければならず、実刑を言い渡されることもある。ある作家の夫は、本人が4年半の禁固刑に処されたことを明かしている。多くの作家は沈黙するため、拘束された正確な人数を集計することは困難になっている」と伝えた。
同紙は、「耽美」の取り締まりは地域をまたいで行われているとし、「24年6月に安徽省のある地域の警察が省をまたぐ捜査を開始し、翌25年春には甘粛省蘭州市の警察も同様の取り締まりを展開した。これらの地域の警察機関は全国規模で『事件』を探している」と説明。あるネットユーザーからは「他の地域に及ぶ法執行は、地方財政が逼迫(ひっぱく)する中で、形を変えた収入源の創出行為なのではないか」と疑う声も出ていると紹介した。
同紙のインタビューに応じたある女性作者は「『耽美小説』を見るのは特定のプラットフォームの有料ユーザーだけ」とし、「弾圧は非常に偽善的。中国の大勢の男性は『壁越え』をして日本や欧米のポルノサイトを見ているのに、女性は幻想を抱く自由すらない。彼らが恐れているのは、女性が欲望の幻想を表現できる空間を見つけたこと、つまりは性革命だ」と語ったという。
同紙はこのほか、「中国が出生率低下という困難に直面する中、政府は伝統的な家族の価値観を奨励しており、主流のジェンダー観念に合致しないいかなる文化的表現も潜在的な脅威とみなされている」と指摘。近年、ますます関連作品の審査が厳しくなり、映画やドラマなどの映像作品にも規制が及んでいるとする一方、拘束された作者らの支援を申し出る弁護士もいるほか、環球時報の元編集である胡錫進氏さえ過去に「『耽美』作品を過度に攻撃することは中国社会の『性の後退』を招く恐れがあり、社会の心理的健康に不利益」と指摘していたことを伝えている。(翻訳・編集/北田)
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