トランプ大統領の「ちゃぶ台返し」は中国の思うつぼ? 各国との提携強化へ―香港紙

Record China    2025年7月15日(火) 5時0分

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世界は今、トランプ米大統領が打ち出した関税問題で揺れている。中国は逆に、さまざまな国に貿易を円滑化する提案を続けている。トランプ米大統領の特徴としては、主張を二転三転させることもある。

世界は今、トランプ米大統領が打ち出した関税問題で揺れている。中国は逆に、さまざまな国に貿易を円滑化する提案を続けている。米国にとって、中国の努力が奏功することは好ましくない。トランプ米大統領の特徴としては、主張を二転三転させることもある。このことは「友達の輪」を広げようとする中国にとっては有利に作用するという。中国メディアの観察者はこのほど、香港紙のサウスチャイナ・モーニング・ポストを引用するなどで中国を取り巻く状況を解説する記事を発表した。

中国の動きで特に目立つのが、王毅外相が世界各地に足を運んで、中国に同調する国を増やそうとしていることだ。例えば7月10日にはマレーシアのクアラルンプールで開催されたたASEANおよび中日韓外相会合に出席して、実際の行動をもって共通の市場を拡大し、自由貿易を守ると改めて強調した。

王外相はさらに、米国がたった一通の書簡だけでASEAN諸国に高関税を課すのは典型的かつ一方的な力による抑圧と非難し、中国が断固として反撃に出るのは自国の利益を守るためだけでなく、ASEAN諸国を含む各国に共通する利益を守るためでもあると論じ、ASEANと協力を強化して多国間貿易体制を共に守っていく中国の考え方を示した。

ASEAN諸国にとっての大きな問題の一つは、トランプ大統領が第三国経由の輸出品についても高い関税率を適用する考えであることだ。10年余り前から、中国企業が東南アジアなどに進出して生産活動を行うことが目立つようになった。原材料や半製品は中国から進出先に送り、完成品は主に米国など先進国に輸出するビジネスモデルだ。当初は中国国内で上昇し続ける人件費を削減するための方策だったが、後に地政学リスクを分散する手法とも見なされるようになった。

中国企業の進出先である国にとって、中国系企業が自国で生産して米国に輸出する製品に対して、中国からの対米直接輸出と同様の高い関税率が適用されれば、打撃になる。このことで、米国に対抗するために中国と東南アジア諸国が連携を強める可能性が高まった。

中国はカナダやブラジルに対しても、関係強化の働きかけをしている。ブラジルについては、もう一つの「特殊事情」が存在する。トランプ大統領がブラジル製品に対して50%の輸入関税を課す意向を表明した際に、ブラジルの現政権はボルソナロ前大統領に対して「魔女狩り」をしていると非難したことだ。ボルソナロ前大統領は2022年大統領選での敗北を覆すためにクーデターを企てたとして身柄を収監され起訴されている。

ブラジルのシルバ大統領はソーシャルメディアを通じて「関税の引き上げには引き上げで応じる」と表明し、さらにブラジルの司法制度に干渉しないよう警告した。

中国政府外交部は同件を受けただちに、主権の平等と内政不干渉は「国連憲章」の重要原則であり、国際関係の基本準則だと表明し、さらに、「関税を他国に圧力をかけたり、圧迫したり、内政に干渉するための手段であってはならない」と強調した。

米国のやり方については、もう一つの問題も浮上しつつある。トランプ大統領がベトナムとの交渉で「ちゃぶ台返し」をしたとされることだ。米国メディアの「ポリティコ」は複数の情報源による話として、ベトナムの対米交渉チームは関税率は11%前後で合意すると認識していたが、合意成立の直前になってトランプ大統領が突然20%に引き上げたと報じた。

アジアの他の国の外交官も、米国がベトナムとの交渉で条件を突然に変更したことを知るようになったという。すなわち、トランプ大統領が交渉中に突然立場を変える可能性が高まったことで、米国の貿易相手国が直面する不確実性が改めて浮き彫りなった。米国務省でかつて東アジア・太平洋担当の副次官補を務めたスコット・マルシエル氏は、この出来事は、米越が過去数十年にわたり築いてきた外交関係の再建努力を損ないかねず、近年急速に拡大してきた貿易関係にも打撃を与えると懸念を示した。

米国通商代表部補佐官経験者であるハリー・ブロードマン氏は、トランプ大統領のやり方を「大統領がこのような行為をするということは、交渉担当者の信頼性を完全に損なうことに等しい」と述べた。米国の相手国の交渉担当者が、ベトナムが受けた仕打ちを見て、「落としどころ」を真剣に模索する気持ちを減退させてしまうことにつながるという。

米国と中国は、自国の世界に対する影響力を強める競争をしていると言える。マルシエル氏はトランプ大統領のベトナムに対するやり方を、米中の影響力獲得競争において「中国にとって有利に働くことになる」と評した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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