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中国の企業や投資家は米国との貿易摩擦が長引く中、人民元が当面は安定して推移し、やがて下落すると見込む一方で、通貨当局は相場を安定させようと注力している。写真は人民元。
中国の企業や投資家は米国との貿易摩擦が長引く中、人民元が当面は安定して推移し、やがて下落すると見込んでいるようだ、とロイター通信が伝えた。一方で中国人民銀行(中央銀行)は元が突然どちらかの方向に動けば好ましくないとして、相場を安定させようと注力している。
ロイター通信によると、米国のトランプ大統領が多くの国に対する懲罰的な関税を発表した4月2日以降、元は対ドルで1.5%上昇。同じ期間にタイバーツ、韓国ウォン、台湾ドルなどの通貨が6~14%上昇したことに比べると控えめだ。
元は2025年の大半を1ドル=7.15~7.35元の狭いレンジで推移。貿易加重ベースでは過去4年半で最も弱い水準となった。 経済成長の2割を占める輸出部門は、6月前半に米中間で合意された最新の貿易枠組みにより、最大55%もの米国の輸入関税に直面している。
中国は当初100%を超える関税を課された。トランプ政権が4月から5月に課した追加関税を復活させないようにするのは、8月12日までに米国と合意しなければならない。スウェーデンに本拠を置くSEBのアジア戦略担当責任者ユージニア・ビクトリーノ氏は「米国の貿易政策による外部リスクを考慮すると、中国は米国以外の市場に対して非常に競争力のある通貨を維持する必要がある」と述べた。
人民銀の対応について、ロイター通信は「5月以降、日々の基準値管理で元の過度な上昇を望んでいないことを示している」と報道。また「本土投資家が低利回りのオンショア市場から香港の株式や債券に資金をシフトさせることに前向きな姿勢を示しており、一部のアナリストは元に売り圧力をかけるためではないかと疑っている」との見方を示した。
オランダに本社がある総合金融機関INGの大中華圏担当チーフエコノミスト、リン・ソン氏は「人民銀はかなり以前から通貨の安定を優先しており、ここ数年は急激な元安を防ぐことに焦点が当てられてきたが、これは現在見られるような元高ペース管理にも当てはまる。今年の予想レンジは1ドル=7~7.4元で、このレンジを年内維持する可能性が高いと思う」と語った。
人民銀のデータによると、今年1~5月の外貨預金残高は前年同期と比べ19%増え、5月末には9901億ドル(現レートで約144兆5500億円)に達した。ロイター通信の計算では家計や企業がドルを売って元に交換する意欲を測る指標は低下しているという。
輸出企業は元安による潜在的な利益を逃すことを警戒して通貨スワップを利用している。規制当局のデータによると、商業銀行は1~5月に顧客勘定で2775億ドルの通貨スワップを実行、これは前年同期比で10%増えている。(編集/日向)
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