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トランプ大統領は現地時間8日の閣議で、輸入医薬品に対して200%の関税を課す可能性があると表明した。
「関税のせいでBMWが買えなくても、フォードを買うという選択肢がある。だけど、化学療法の費用が25%上がって、治療を受ける余裕がなくなったら、他に選択肢はあるだろうか? 答えは“死”のみだ」
これは、アイルランドの製薬会社の責任者が、米国による医薬品への追加関税が招く結果について述べた言葉だ。
そして今、この警告は現実のものになりつつある。トランプ大統領は現地時間8日の閣議で、輸入医薬品に対して200%の関税を課す可能性があると表明した。
この「医療製造業の米国回帰」を掲げた政策は、世界の産業チェーンと国際秩序、そして患者の命すらもギャンブルの掛け金にするかのような、狂気的な行為といえる。薬価の高騰に始まり、医療サプライチェーンの分断をも引き起こす恐れがある。この“関税の嵐”によって、人命を軽視する米政府の本性が露呈した。
米国の医療制度は、政策立案者の想像を超えて輸入医薬品に依存している。米「タイム」誌によると、米国で使用されている医薬品のうち、完成品の48%はインドから、13%は中国から、7%は欧州から輸入されている。
さらに、米国内で製造されている医薬品であっても、その原材料の3割以上は輸入に依存している。データによれば、米国市場の有効成分(API)の90%が輸入に頼っており、そのうち60%は中国から来ている。
例えば、米国で最も広く使用されている抗生物質・アモキシシリン。米国では毎年数千万人がこの薬に救われているが、米国にはメーカーが1社しかなく、慢性的な供給不足に陥っている。その上、同社はアモキシシリンの原材料の80%を中国から輸入している。もし輸入薬品に200%の関税が課されれば、命を支えるこのサプライチェーンは断絶の危機にさらされることになる。
医療消耗品の分野も危機に瀕している。米国の医療機関で使われる手術用手袋の99%は輸入品に依存しており、静脈カテーテルの主な生産地も北米以外にある。そのほか、人工呼吸器、麻酔器、X線設備、高度な画像診断設備も、すべてが外国製もしくは外国製部品を含んでいる。マスクの供給すら、いまだに海外への依存度が高い。
追加関税によってコスト削減を迫られる医療現場は、患者にとって不利な措置を取らざるを得ない状況に追い込まれる可能性がある。例えば、命に関わる病気や生活の質に重大な影響を与える病気の診断において、イメージング方式の検査を適時に運用できなくなることが考えられる。
今年4月、トランプ大統領が医薬品への関税導入を発表した直後、米国の製薬業界団体が委託して作成した報告書では、医薬品に25%の関税が課された場合、米国内の医薬品コストは年間約510億ドル増加するとの試算が示された。これらのコストが消費者に転嫁されれば、薬価は最大で12.9%上昇するとされている。25%の関税でもこれだけの経済的負担が生じるというのに、今回示唆された200%という数字は、その8倍である。
米政府は、関税政策によって製薬会社を国内回帰させ、国内製造を促すと主張している。しかしホワイトハウスの予測によれば、米国内で新たな薬品製造拠点が稼働するまでには5〜10年かかる可能性があるという。重病を抱え、生死の瀬戸際にいる患者たちは、その10年を待てるのだろうか。
関税の障壁が市場のルールをも覆し、人々の生活が交渉の道具にされる時、患者はこの無意味なギャンブルの最大の犠牲者となる。自動車の値上げには「節約してグレードを下げる」ことで対応もできるだろうが、医薬品の供給断絶は死へのカウントダウンを意味する。
医療は本来、政治を超えた人道の最終ラインであるべきだ。それが今、権力闘争の犠牲にされている。
政策立案者たちは関税のムチを振るう前に、化学療法室で泣く患者の声を、工場で悩む労働者の声を、スーパーマーケットでため息をつく主婦の声を聞くべきである。そうした声こそが、政策の良し悪しを測る真の物差しなのである。(提供/CRI)
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