中国の即時配送市場が激化、京東の「無人バン」に注目

邦人Navi    2025年7月8日(火) 20時30分

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京東の無人バンは30分圏経済を支えるラストマイル物流の切り札として期待されている。

「京東(JDドットコム)がついにバン製造へ」。このニュースは即時配送を巡る中国の覇権争いに新たな火種を投下した。革新的な無人車両で、30分圏経済を支えるラストマイル物流の切り札として期待されている。京東は果たして三つどもえの戦いから一歩頭を抜け出したのだろうか。

三雄並び立つことの難度

「三大企業」や「ビッグスリー」という言葉がよく使われるが、三雄並び立つ図式が市場のスタンダードというわけではない。このことを痛感せざるを得ない日系企業絡みのニュースもよく目に付く。

日産自動車は世界を席巻したビッグスリーの一角だったが、品質問題や競争激化など幾多の要因を受けて、その名は栄光の時代から遠く離れ、かつての輝きを取り戻す道のりは遠く険しい。

くら寿司は中国市場から撤退することを発表した。日本ではスシロー、はま寿司と並ぶ回転寿司チェーンの大手ブランドだが、中国進出からわずか2年での全店舗閉鎖は業界に衝撃を与えた。

松屋は言わずと知れた牛丼チェーンの代表格の一つだが、中国では多店舗展開には至らず、存在感は薄い。現地の消費者の嗜好に合わせたメニュー開発も壁になったといわれる。

日本郵便が3強から後退

中でも衝撃だったのは日本郵便を巡る事件だろう。同社は複数拠点でドライバーの安全確認(点呼)を実施せず虚偽記録を作成するなど法令違反をしていた。このことが発覚すると国土交通省が同社の一般貨物自動車運送事業の許可を取り消したのだ。この処分により一部車両の運行停止が実施され、日本郵便は宅配市場のビッグスリーの存在から大きく後退した。

即時配送で各社がサービス強化

一方、中国ではアリババ美団(メイトゥアン)、京東による即時配送市場の覇権争いが三国志演義のごとく激化している。これらの企業は新鮮食品や日用品の30分~2時間での配送を軸に、シェア拡大を狙った技術革新を加速させている。

今年の「618セール」では、即時配送市場は「生活圏サービスの中核インフラ」となりつつある様相を示すことになった。京東は人工知能(AI)による倉庫・配送網を強化、美団はクイック購入サービスの全品類対応を掲げた。アリババ(淘宝/Taobao)は順豊(SFエクスプレス)と組んで「超速訪問」を提した。

京東が自社バン開発

中でも昨今特に注目を集めているのが京東の動向だ。京東はフードデリバリー市場への本格参入を果たし、美団やアリババ系列のウーラマ(饿了么)が長年にわたり支配してきた市場に風穴を開けた。「品質出前」という新しい価値を提案し、AIとビッグデータを駆使した「物流超脳(Logistics Brain)」で物流の最適化を進め、圧倒的なサポート体制を築こうとしている。

その切り札ともいうべき存在が、6月に開催された「第17回国際交通技術展」でお披露目された「京東物流バン(VAN)」だ。積載量最大24立方メートル、航続距離400キロを誇り、レベル4の自動運転技術を搭載した無人配送車だ。

「30分圏生活」の覇権競争

京東物流バンは都市内の複雑な道路環境でも自律走行が可能だ。ECの物流拠点間輸送や製造業の部品搬送、冷凍品の配送など、高頻度な近距離物流に特化している。これにより、物流の効率化とコスト削減の実現が期待されている。

京東は2015年に蔚来(NIO)への初期投資を果たしてから自動車事業を段階的に拡大してきたが、無人配送車の投入で即時小売市場は新たな局面を迎えたことになる。今後、「30分圏生活」の覇権を巡る戦いが加速し、物流の力が競争要素としてますます重要になってくる。三つどもえの構図の中で各社がどのような奇策を繰り出していくのか、今後の動向から目が離せない。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。



   

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