劇場版「名探偵コナン 隻眼の残像」が中国で興収約40億円を最速突破した理由―中国メディア

Record China    2025年7月3日(木) 21時0分

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2日、中国の映画専門のポータルサイト・1905電影網に「劇場版「名探偵コナン 隻眼の残像」が中国で興行収入約40億円を最速突破した理由」と題した記事が掲載された。写真は名探偵コナン。

2025年7月2日、中国の映画専門のポータルサイト・1905電影網に「劇場版「名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)」が中国で興行収入約40億円を最速突破した理由」と題した記事が掲載された。

記事はまず、「劇場版シリーズ最新作『名探偵コナン 隻眼の残像』が、中国公開からわずか数日で興行収入2億元を突破するシリーズ最速記録を打ち立てた。日本では24年に公開された前作『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』が、シリーズ最高の興行収入158億円を突破。今作も公開19日で100億円を超えとなった。この30年間、世界はめまぐるしく変化してきたが、この『永遠に成長しない小学1年生』には時間を超える力があるかのように思える。その人気は衰えるどころか、むしろ増し続け、興行収入も記録を塗り替え続けている。その背景には一体どのような秘密が隠されているのだろうか。この問いに迫るべく、20年以上作品を追い続けてきたファンの小楊(シャオヤン)氏、映画評論家の李墨(リー・モー)氏、日本アニメ研究者の小寧(シャオニィン)氏(いずれも仮名)に話を聞き、それぞれの立場から、この世代を超える文化現象の裏にあるロジックと感情について語ってもらった」と言及した。

記事は、小楊氏が「私にとって、この問いはほとんど考えるまでもない。『名探偵コナン』を追いかけることは、もはや本能のようなものだ。小学生の頃、小遣いを貯めては次々と漫画を買っていた記憶が鮮明に残っている。ページを開くと印刷のインクの匂いが立ちのぼり、巧妙に仕組まれた事件の数々に毎回驚かされていた。あの頃の『山荘包帯男殺人事件』や『ピアノソナタ 月光殺人事件』は、まさに子ども時代のトラウマだったが、それでも何度も繰り返し読んでしまうほど魅力があった。今では、毎年劇場版を映画館で見ることが、一種の『儀式』のようになっている。『名探偵コナン』はまるで長年の友人のように、毎年きちんと約束どおりにやって来る。たとえ推理が減って爆発シーンばかりになったとしても、冒頭でなじみある音楽が流れ、江戸川(えどがわ)コナンが『真実はいつもひとつ』と言った瞬間、すべての感情の記憶が呼び覚まされるのだ」と述べたことを伝えた。

また、小寧氏も「作中の時間が止まっているが、現実世界では、子ども時代に作品に親しんだ人が今は親となり、子どもを連れて見に行っている。このサイクルが作品に持続的な生命を与えているのだ」と語ったとし、李墨氏も「現代は情報が爆発的に増え、次々と新しいものが生まれては消えていく時代。そんな中で『名探偵コナン』は毎年春に必ず新作が公開され、主要キャラクターの関係性も簡単には変わらず、そして最終的には正義が必ず勝つと決まっている。この『確実性』こそが、非常に強い魅力となっているのである。これは典型的な『感情消費』で、観客は映画館に足を運ぶ際、単にチケットを買っているのではなく『なじみ』と『安心感』を買っているのだ。長年にわたって築かれたこの信頼関係は、新しい作品では到底届かないものである。これが、たとえ作品ごとの評価が分かれたとしても、劇場版シリーズが常に高い興行を維持できる理由なのである」と、マーケットと観客心理の観点から補足したとした。

一方で、近年の劇場版には『推理が減った』という声も多い。初期の本格推理に魅力を感じていたファンにとって、現在の派手なアクション展開には違和感があるかもしれない。李墨氏はこの傾向を『興行収入と評価の乖離(かいり)』だと分析。「劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』以降、興行収入の記録は毎年のように更新されているが、国内外のレビューサイトでは初期作品の方が評価が高い傾向がある。この変化の核心にあるのは、劇場版の位置付けの転換である。初期作品はテレビアニメシリーズのエピソードを豪華にしたような内容で、推理の論理性やトリックの巧妙さを重視していたが、明らかにハリウッド的なアクション大作へとシフトし、推理要素は薄れ、代わりにカーチェイス、爆発といった大規模な演出が目立つようになった。この変化により、作品の観客層が広がり、コアなファン以外の一般層も取り込むことで興行収入の上昇に貢献している。しかし、本格推理を求める古参ファンにとっては、これは一種の『裏切り』であり、その結果として評価の二極化が生じている」と指摘したことも紹介した。

続けて、小楊氏は「李墨氏の言葉には深く共感する。我たち古参ファンにとっては、一つの巧妙なトリックで一本の映画が成り立っていたあの時代が本当に懐かしい。しかし、一つの作品が30年存続するための避けられない変化であったことは理解している。もし劇場版がいまだに密室殺人ばかりを描いていたら、とっくに市場から淘汰されていただろう。だからこそ、我々は『和解』を覚えた。商業化された側面を受け入れ、その中で新しい楽しみ方を見いだしている。たとえば人気キャラクターの見せ場を楽しむことだ。今作では、毛利小五郎(もうりこごろう)が久々に元刑事としての本領を発揮し、多くの古参ファンを熱狂させた」と述べたとし、小寧氏も「このような転換は、日本のアニメ産業において必然の流れだ。映画という大衆メディアは、テレビアニメよりもはるかに速い物語展開と強い視覚的刺激が求められる。劇場版を『家族全員で楽しめるアクション大作』として仕立てることは、リスクを最小、利益を最大にできる商業戦略で、これにより作品の継続的なメディア露出が保たれているのである」と擁護したとした。

その上で、小寧氏が「初期作品の魅力は事件そのものにあったが、数千件におよぶ事件が描かれるると、行き詰まりを見せ始めた。そのような状況下で、制作側は非常に巧みに、魅力的で巨大なキャラクターたちを構築したのだ。キャラクター同士の関係性や成長、過去の物語を新たなストーリー展開の原動力となり、主人公、少年探偵団、FBI、黒の組織、各警察組織に至るまで、今ではそれぞれのキャラクターが独自の背景とファン層を持っている」と論じ、李墨氏も「『名探偵コナンの人気が長く続いている理由は、単に『面白い作品だから』ではなく、日本のアニメ産業が築いてきた、強力で多角的なビジネスの仕組みに支えられているからだ。映画、アニメ、漫画、グッズ、イベント、聖地巡礼などが連動する大きなビジネス展開によって、ファンは物語だけでなく『ファンであること』そのものを楽しみ、消費している。この仕組みによって、『名探偵コナン』は安定して資金を得られ、長く新しい作品を作り続けられる。結果的に、作品としてもビジネスとしても、強い生命力を持ち続けている」と加えたとした。(翻訳・編集/岩田)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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