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中国のポータルサイト・捜狐に江戸川コナンが毛利蘭に「自分が工藤新一だ」と告白しない理由を考察した記事が掲載された。写真は江戸川コナン。
中国のポータルサイト・捜狐にこのほど、江戸川コナンが毛利蘭に「自分が工藤新一だ」と告白しない理由を考察した記事が掲載された。
記事はまず、「新一が蘭に真実を隠すのは、東アジア文化における『保護本能』の極致のように見える。17歳の高校生探偵である彼は、黒ずくめの組織の取引現場を目撃した瞬間から『蘭を危険から遠ざけたい』、『毛利探偵事務所を報復対象にしたくない』と、自分の存在が幼なじみの災いになること恐れている。ただし、それは深い愛のよろいでありながら、同時に人を傷つける刃でもある。突如現れた新一が消えていく場面など『近づきそうで近づかない』関係がもたらす苦しみは、実際に危険に直面するよりもはるかに残酷である」と述べた。
続けて、「コナンの葛藤は本質的に『探偵』と『普通の人間』の狭間にある。『日本警察の救世主』となるべく組織の真相を暴く使命をに担いながら、『コナン』としては小学生を演じねばならない。また、劇場版『名探偵コナン ベイカー街(ストリート)の亡霊』では、仮想世界でジャック・ザ・リッパーと対峙し、乗客を守るために蘭が列車から飛び降りた時、『真実を追う者は犠牲を払わねばならない』と自覚する。その代償には、最も大切な感情さえ含まれる可能性がある。コナンは真実の追求者であるが故に、真実に囚われている存在でもあるのだ」と論じた。
また、「灰原哀の登場は、物語をさらに複雑な次元へと導く。同じAPTX4869を服用した彼女は、コナンの戦友であると同時に、蘭との関係を揺るがせる要素ともなっている。彼女は新一が蘭を守ろうとする思いを理解する一方で、『真実を知っているのは私たちだけ』という暗黙の絆を密かに楽しんでもいるようにも見える。劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』では、この三角関係が鏡のように映し出される。真実を知る3人目・世良真純の登場とともに、コナンは誰に秘密を打ち明けるべきか、本心を打ち明けるべきかという葛藤に直面する」と言及した。
さらに、「APTX4869の服用によって体が縮んだことは、思いがけず『時間の停止』という魔法を生み出した。OVA作品の『10年後の異邦人』で、新一が10年後の世界で婚約した蘭と出会った幻覚を見た時、彼は蘭の身体的な安全を守った一方で、彼女の感情的な成長の機会を奪ってしまったことに気づく。彼は日常という偽りの平和を保ちつつ、多くの人を時間のカプセルに閉じ込めてしまったのだ」と説明した。
記事は、「『名探偵コナン』において、コナンは本来、事件の真相を解き明かす者として描かれてきた。しかし、皮肉なことに、その本人こそが最も解きがたい謎となってしまった。例えば『紅の修学旅行』編では、一時的に元の姿に戻った新一が、ついに蘭から告白の返事をもらう場面が描かれる。恋愛関係が前進したように見えるが、事態はそれほど単純ではない。そのあとも新一は再びコナンの日常に戻り、蘭とのやりとりには変声機を必要とする。彼のスマートフォンには少年探偵団との写真が保存され、思考回路も依然としてコナンなのである」と述べた。
それから、「このアイデンティティーの曖昧さは、劇場版『名探偵コナン ゼロの執行人』でさらに強調される。コナンは作中で人工衛星の軌道を変えるという超人的な行動を成し遂げる。もはや少年でも高校生でもない、ある種の『超越者』として描かれるその姿は、彼が現実と乖離した存在になりつつあることを示唆している。つまり、彼が正体を隠し続ける行為は、もはや安全のためではなく『真実を守る』という使命となり、彼自身が『探偵』であると同時に『神話的存在』へと昇華されつつあるのだ」と指摘した。
その上で、「『名探偵コナン』は単なる推理アニメではない。そこには、現代人が抱える心の不安、孤独、信頼、そして『待ち続けること』の意味が丁寧に描かれている。帝丹小学校の桜は何度も咲いては散り、ポアロのコーヒーも日々入れ替わる。それでも蘭は、新一の帰りを信じて待ち続けている。彼女のその姿は『待つ』という感情の美しさと痛みの両方を体現している。この『待つことに意味がある』という価値観は、現代の効率主義や即時性に対する優しい反抗ともいえる。人はすぐに答えを求めたがるが、真に大切なものは、時間をかけてじっくり育まれるべきであるというメッセージが込められているのだ」と分析した。
そして、「同作は、保護本能が刃となりうること、責任感が倫理のおりとなりうること、真実への渇望が虚無を呼ぶこと、 「そして『待つこと』こそが、相手を信じ続ける強さや、変わらぬ愛情の証であることを教えてくれる。新一が遂に正体を打ち明けるその日には、恐らく私たちも涙するだろう。しかし、重要なのは答えそのものではなく、20年以上にわたる感情の修行を共にした過程なのだ。コナンの口癖である『真実はいつもひとつ』もいいが、『愛の本質』は数えきれない『待っていてくれ』という言葉そのものにこそ宿っているのかもしれない」と結んだ。(翻訳・編集/岩田)
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