【観察眼】多国間主義の魅力が輝く“灯台”

CRI online    2025年6月30日(月) 10時20分

拡大

アジアインフラ投資銀行はこれまでの10年間で2000億ドル以上の投資をけん引し、アジアのみならずアフリカ、中南米などの住民の生活に大きな改善をもたらした。

10年前、「鳥の巣」の愛称を持つ北京の国家スタジアムの隣に「中国結び」と「魯班錠」(中国の古い組み木パズル)をモチーフにした建物が建ち上がったとき、それが世界のインフラ投資分野の“灯台”になるとは誰も予想しなかったかもしれない。この建物を本部とするアジアインフラ投資銀行(AIIB)はこれまでの10年間で2000億ドル以上の投資をけん引し、アジアのみならずアフリカ、中南米などの住民の生活に大きな改善をもたらした。

AIIBは中国の提唱により、57カ国が共同で設立した多国間開発銀行で、本部は北京にある。2015年12月に設立を宣言し、2016年1月に正式に運営を開始した。この10年間で300件以上のプロジェクトを承認し、総額600億ドル以上の融資を通じて、交通、エネルギー、医療、給水など多くの分野への2000億ドルを超える資本を呼び込んだ。

例えば、インドネシアでは、2億1600万ドルを融資してスラム街の改造に投入したことで、現地住民970万人の生活環境が改善された。バングラデシュでは、気候変動対策融資を通じて、現地政府の気候変動対応能力の向上を支援した。コートジボワールで実施された農村道路整備は、コーヒーやカカオ豆などの農産物の販路拡大につながった。

AIIBの融資によって整備された交通インフラの全長は2024年末の時点で5万1000キロを超え、これは赤道を1.28周する距離に相当する。また、AIIBの融資により、世界では合計2130万キロワットの再生可能エネルギー設備が整備され、これにより年間約3000万トンの炭素排出量が削減されている。さらに、AIIBが支援したプロジェクトにより、約871万人が安全な飲料水の供給を受けられるようになり、生活の質が確実に向上した。

10年前の設立当時は57だったAIIBのメンバー数は、現在では110カ国・地域にまで増え、メンバーは六大陸をカバーし、世界人口の81%、GDPの65%をカバーしている。また、この“発展途上国が主導する”銀行は、メンバーの国際的影響力の向上とインフラ投資による巨大なビジネスチャンスによって英国やフランス、ドイツ、イタリアなど多くの先進国も加わっている。

AIIBにはもう一つの魅力がある。それは、何でも皆で相談して決めることだ。AIIBでは発展途上国の出資比率が全体の約7割、先進国が約3割で、途上国メンバーと先進国メンバー、出資額が多いメンバーとさほど多くないメンバーは平等に発言でき、コンセンサスに基づいて協力している。このような多国間主義に基づいた連携により、AIIBは世界のインフラ投資分野の「スーパーコネクター」となった。現在、AIIBは世界銀行やアジア開発銀行にとって最大の融資パートナーである。また、100以上の国際組織、地域金融機関、民間企業、慈善団体などと協力関係を築いている。また、AIIBが承認したプロジェクトには、他の多国間開発銀行と共同融資したものが数多く含まれている。AIIBは具体的な行動を通じて、多国間主義は空虚な言葉ではなく、実際の橋、送電網、飲用水、雇用機会であると証明している。

今月24日から26日にかけて、AIIB第10回理事会年次総会が北京で開催された。今回の会議は過去10年間を総括した上で、新たな発展目標を発表した。それには、2030年までに年間融資規模を170億ドルに倍増させ、毎年の気候関連分野への融資比率を50%以上に維持することが盛り込まれている。これは決して非現実的なものではなく、事実、AIIBの気候関連分野への融資比率は2022年から3年連続でこの目標を上回っており、特に2024年はなんと67%に達している。

AIIBの金立群総裁によると、AIIBは今後、AI時代に順応するため、道路や鉄道など形のあるインフラの整備だけでなく、「デジタルインフラ」という形のないインフラ整備も推進し、特に金融プラットフォームやエネルギーネットワークなどの国境を越えたインフラにも注目していく。金総裁はまた、「われわれは資金だけでなく、発展の経験を共有することでより多くの国を支援したい。こうした経験や知識が果たす役割は金銭では測れない」とも述べている。

AIIB本部ビルのデザインはなぜ「中国結び」と「魯班錠」をモチーフにしているのか。それは「相互連結」「世界をつなぐ」という意味が込められているからである。(提供/CRI

※本記事はニュース提供社の記事であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。すべてのコンテンツの著作権は、ニュース提供社に帰属します。

noteに華流エンタメ情報を配信中!詳しくはこちら


   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携