拡大
中国の空港や高速鉄道でペット向けサービスが本格始動している。
中国の空港や高速鉄道でペット向けサービスが本格始動。専用待機・運搬サービスが拡大し、動物福祉と萌え経済が交通インフラに浸透している。
南寧日報によると、広西チワン族自治区の南寧空港で17日、「ペット専用待合室」がオープンした。空調設備、除臭システム、ペット給水器、健康監視装置を備え、従来の貨物扱いから脱却し、動物福祉を意識した空間が整えられている。
ペット専用待合室ともいうべきスペースが中国の空港に設置されたのは深セン、成都に続き南寧が3例目。ペットを伴だった旅を支援しつつ、航空貨物の高付加価値化という視点でも注目されている。空港物流が萌え経済と融合する時代が到来した。
一方、中国鉄道部門でも動きが見られる。4月8日に試験的に開始されたペット託送サービスが、6月20日からさらに運用対象が拡大している。カバーする範囲は京滬(北京-上海)、京広(北京-広州)、京哈(北京-ハルピン)、滬昆(上海-昆明)など8本の高速鉄道路線、計25駅、38本の列車に及ぶ。
ただし、予約は「鉄道12306」アプリで乗車2日以上前に行う必要があり、運搬できるのは家庭で飼養された健康な犬・猫1匹に限られる。体重15kg以下、肩高40cm以下を上限とするなどの制約もある。また、専用キャリーケースに収めることが義務付けられ、飼い主とは別車両での乗車が前提となる。
それでも、そんな「萌え客」を取り込む試みは、鉄道による運送が移動の多様性と生活の質の向上を目指す動きと歩調を合わせているといってよい。
「2025年中国ペット産業白書(消費報告)」によると、24年の中国都市部における犬猫の飼育数は前年比2.1%増の1億2000万匹で、消費市場規模は同7.5%増の3002億元(約6兆円)に達した。一方、別のレポート「2024~2025年中国ペット産業運営状況および消費市場モニタリング報告」によると、28年には中国のペット市場規模が1兆1500億元(約30兆円)に達すると予測されている。
ペット産業は主食やスナック、サプリメントなどペットフードの加工・販売、ペット飼育といった川上・川中産業はもとより、薬品や診療、ワクチン、健康診断を含むペット医療、入浴や美容、しつけといった川下産業に至るまで多岐にわたる。あらゆる分野で関連産業が立ち上がり、都市部の中産層や独身世帯を中心に消費が拡大している。ペットはもはや家計の一部であり、命のパートナーとして社会に位置付けられている。
一方、公共交通機関を利用してペットと移動する際には、鳴き声や排泄物、アレルギー対応、他の乗客との共存など、多くの課題が伴う。
事前登録制や指定車両の導入といった段階的な対応を進める国や地域もあるが、国土の広い中国では地域ごとの対応にばらつきが生じる可能性も高い。利便性と公共性のバランスをいかに保ちながら、統一的なルールを構築していくかが今後の大きな課題となるだろう。
ペットは単なる癒しの存在を超え、今や社会の成熟度を映す鏡となっている。ホテルやカフェ、ショッピングモールにもペットフレンドリーな設備が整いつつあり、都市インフラの再設計が進む。
人と動物がストレスなく共に生きる社会。それはテクノロジーや制度だけでなく、思いやりというソフトパワーを基盤とした文明の新たな姿を示している。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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