空気で発電、塩の洞窟にある「スーパー充電器」―中国

人民網日本語版    2025年6月26日(木) 8時30分

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泰山のふもとで、空気を使って発電する「スーパー充電器」が形を現しつつある。

空気でも発電できるのか?泰山のふもとで、空気を使って発電する「スーパー充電器」が形を現しつつある。これが、現在世界で建設中の単体として出力が最大の圧縮空気蓄電所、「エネルギー貯蔵1号」である山東泰安350メガワット(MW)級圧縮空気蓄電イノベーションモデル発電所だ。科技日報が伝えた。

6月19日から20日まで、記者は「新国有企業に迫る――ブランドの主導・スマートにつながれる未来」取材イベントに参加し、中国能源(エネルギー)建設集団を訪問した。この中国能建が手掛ける代表的プロジェクトである「エネルギー貯蔵1号」の現場に入り、空気を使って発電する圧縮空気蓄電所の仕組みを探った。

泰安圧縮空気蓄電所は、中国能建傘下の中国能建数科集団が投資・建設を行ったものだ。第1期プロジェクトでは、出力350MWの塩洞窟型・非燃料補助型圧縮空気蓄電設備を1基建設し、年間発電量は4億6000万キロワット時(kWh)にも達し、20万世帯以上の年間消費電力量を賄える。

中国能建数科集団サブチーフエンジニアの陶剛(タオ・ガン)氏は、「私たちは泰安のこの発電所を巨大な充電器と捉えている。中小規模の都市に5時間連続で電力供給ができる能力を持っている」と語った。

このプロジェクトは昨年5月に着工して以来、建築工事、設備設置、掘削作業などの重要な工程をすでに完了している。現在は電力設備の試運転が緊張感を持って秩序立てて進められている。今年末までに初の系統接続とフル出力運転を実現する見込みだ。

では、目に見えず触れることもできない空気をどうやって発電に使うのだろうか?

プロジェクトマネージャーの劉少勇(リウ・シャオヨン)氏は発電所の仕組みについて、「電力需要が少ない『谷間』には、余剰電力を使って『空気ポンプ』を動かし、空気を『風船』に圧縮して高圧状態にする。ここで言う『風船』とは、地下にある廃棄された塩の洞窟を活用した空気貯蔵庫のことだ。空気を圧縮する際に生じた熱エネルギーは、熱水や溶融塩といった形で地上の蓄熱タンクに蓄えられる」と説明した。

「そして電力需要が高まる『ピーク』時には、『風船』から高圧空気が放出されると同時に、蓄熱タンクに蓄えられた熱も放出される。このとき、高圧空気は加熱され、大きな膨張力を生み出し、空気タービン発電機を駆動する。この一連のプロセスは、まるで風が風力発電機の『風車』を回すように、電力を生成し、電力網に供給する。発電所の稼働により、電力網のピークカット・ピークシフトが可能となり、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの受け入れ能力も大幅に向上する」と劉氏は述べた。

また、この発電所が持つもうひとつの大きな優位性は、グリーンかつ低炭素であることだ。

陶氏は「世界中で稼働している大半の塩洞窟型圧縮空気蓄電所では、発電段階で空気を加熱するために追加の化石燃料を必要としており、このプロセスは『燃焼補助』と呼ばれている。一方で、泰安の圧縮空気蓄電所では、蓄熱プロセスにおいて技術革新を実現しており、『非燃焼補助』方式を採用している。そのため、空気を加熱するのに一切の化石燃料を使用せず、環境汚染も一切発生しない」と語った。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

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