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台湾メディアの聯合新聞網は24日、台湾の公共交通機関などの「博愛座」が日本などに倣って「優先席」に改称されることについて、医師から厳しい批判の声が上がったと報じた。
台湾メディアの聯合新聞網は24日、台湾の公共交通機関などの「博愛座(優先席)」が日本などに倣って「優先席」に改称されることについて、医師から厳しい批判の声が上がったと報じた。
台湾では近年、「博愛座」に座っていた若者が高齢者から暴力や暴言を浴びるなど乗客同士のトラブルが相次いでいる。ある調査では「博愛座は廃止すべき」と回答した人が63.6%に上った。現行の「博愛座」の利用対象は主に心身障害者、高齢者、弱者、子連れとされているが、若者は利用して良いのか、高齢者には必ず譲らなければならないのかなど、実際の運用をめぐる疑問の声が相次いでいた。
こうした状況を受け、台湾では「博愛座」を日本と同じ「優先席」に改称し、使用者の範囲を拡大する動きが出始めた。聯合新聞網によると、台湾立法院は23日、「博愛席」の名称を「優先席」に改める法案を通過させた。衛生福利部の邱泰源(チウ・タイユエン)部長は「日本や英国、韓国などを参考にした。実際に必要とする人が優先的に利用できるようにするもの」と説明した。
しかし、医師で時事評論家の沈政男(シェン・ジョンナン)氏はこれを厳しく批判している。沈氏は「『博愛座』という名称には共感や思いやりの心が込められているが、『優先席』という言い方には冷たい個人主義の印象がある」と指摘。「他人のまねをして、わざわざ自分たちの良い呼び名を変えてしまうのはどういうことなんだ。しかも、『優先席』は日本語であり、それをそのまま使って、元の『博愛座』の3文字をごみのように捨ててしまうなんて」と嘆いた。
また、「日本の『優先席』には四つのピクトグラムがあり、文字で表すと、高齢者、体の不自由な人、妊婦、子どもということになる。一方、台湾は『優先席』という言葉だけを取り入れ、(博愛座の)『高齢者』や『弱者』といった利用対象者の定義を(必要な人が誰でも使えるようにと)削除してしまった。超高齢社会の到来に備えると言いながら、法文上にあった高齢者の優先権を削除するとは何事か」と非難した。
さらに、「『優先席』という言葉は本来、政府が優先の順位を明示すべきものだが、今回の改正では『実際に必要とする者』とされた。これは言っているようで何も言っておらず、『優先』という2文字の意味を市民に丸投げして争わせるものであり、立法上の怠慢である」と指摘。「これでは『博愛座』におけるトラブルの解消にはつながらない」と断じた。
沈氏は、「『博愛座』は本質的に高齢者の席だ。年を取れば長時間立っているのがつらくなるのは、生物学的にも医学的にも生活常識としても明らか。若者が譲らず非難されたというだけで『高齢者のための席』という概念を捨ててしまったが、それなら今まで主張してきた高齢者福祉もすべて差別だったというのか」と言及。「『博愛席』は他人に席を譲ってほしいと頼みづらい高齢者のために設けられたもの。この精神は超高齢社会では削除されるどころか、むしろ強調されるべきである。台湾は逆行しており、『私が優先されるべきだと思う人のための席』にでも改名すればいい」と痛烈に皮肉った。(翻訳・編集/北田)
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