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濃厚ヨーグルトが北京の新たなお土産になっている。
サンザシなどをあめがけにした中国の伝統菓子「氷糖葫蘆(ビンタンフールー)」や小豆あんをロールしてきな粉をまぶした餅菓子の「驢打滾」、エンドウ豆の羊羹「豌豆黄」、小麦粉生地を小さくカットして炒めた「炒疙瘩」、羊や牛のモツをゆでた「爆肚」、モツ煮込みの「鹵煮」など、北京にはご当地グルメがたくさんあり、根強い人気を誇っている。最近では、ミルクの膜に表面を覆われた濃厚ヨーグルト「奶皮子酸奶」が北京に来る観光客の間で人気となっており、北京のご当地グルメのラインナップがさらに充実するようになっている。人民日報が伝えた。
ある日曜日の午前10時ごろ、北京の老舗レストラン「紫光園」の前門大柵欄店の前には長蛇の列ができ、スーツケースを持っている観光客の姿もたくさん見られた。遼寧省瀋陽市から来たという観光客の陳さんは、「夕方に高速列車で帰るので、北京ダックをもう一度食べておこうと思って、このレストランに来た。ついでに奶皮子酸奶もたくさん買った」と気分を高揚させながら話していた。
店員の「ヨーグルトは飛ぶように売れている。1日に1万個以上売れるというのも日常茶飯事」という言葉の通り、北京の大通り・前門大街や歩行者天国・王府井大街、各地下鉄駅、高速鉄道駅では紫光園で購入した「奶皮子酸奶」の袋を持った観光客をしょっちゅう見かけることができる。地下鉄・前門駅のセキュリティーチェックを担当する職員は、「昨年から今に至るまで、毎日この袋をたくさん見かけている」と話す。
ふたを開けると、薄い黄色いミルクの膜に覆われており、その下のチーズのようにトロリとしたヨーグルトと一緒に食べると、濃厚な味が口全体に広がる。その独特な食感と味が話題となり、「奶皮子酸奶」は観光客の間で一気に人気となった。ソーシャルメディアプラットフォームを見ると、たくさんのネットユーザーがコメントを残しており、紫光園の「奶皮子酸奶」は大ヒット商品となった。
悠久の歴史を誇る他の北京のご当地グルメと比べると、歴史は数年と非常に短い「奶皮子酸奶」が人気を集め、一躍「北京の新たなお土産」となったのはなぜなのだろうか?
その理由を知るためには、北京の老舗レストラン「紫光園」のモデル転換から説明する必要がある。
多くの北京のレストランと同じように、紫光園は以前からプレーンヨーグルトを販売していた。しかし、こうしたヨーグルトは串焼きの肉や北京ダックなどを食べた後に口をすっきりさせたくて食べるくらいだったのと、蜂蜜をかけて食べる人が多いため、ご当地グルメとして持ち帰るような類のものではなかった。
定番の料理にも新しさを追求し、定番の味にも改良を加えなければならない。紫光園餐飲集団の劉政(リウ・ジョン)総裁は、「客は新鮮味のある味を求めており、10年以上売り続けているヨーグルトを、何も変えずに売り続けることはできない。数年前、当社は持ち運びが便利で、口当たりの良い新商品を開発したいと思い、調理師らがさまざまなヨーグルトを試作し、その中から選ばれた『奶皮子酸奶』が発売された」と振り返る。
作り方を見ると、「奶皮子酸奶」は普通のヨーグルトと同じで、牛乳にヨーグルトの種菌を入れて低温で発酵させる方法が採用されている。違いといえば、濃厚なヨーグルトができると同時に、チーズのように表面に薄い黄色の膜ができることだ。紫光園はまず、社員の友人や家族、さらに一部の店舗の客に試食してもらい、意見を求めた。そして、改良を重ね、最終的に今の滑らかで濃厚な味わいの「奶皮子酸奶」ができあがったという。
そして、第一陣の「ファン」がそれをソーシャルメディアでPRすると、奶皮子酸奶の人気がそこで「発酵」された。紫光園はそのチャンスを逃さずに、北京故宮宮廷文化発展傘下の宮里的世界とコラボし、コップのふたに太和殿の絵と共に「ヨーグルトを食べながら故宮を観光」というメッセージを入れた。その後、北京の文化観光人気が高まるにつれて、昨年の国慶節に合わせた大型連休中に、奶皮子酸奶の販売数は1日当たり12万個という最多記録を打ち立てた。
北京の伝統のご当地グルメという「遺伝子」を受け継ぎ、インターネットも十分に活用した奶皮子酸奶はネット上で人気を高め続けている。
劉総裁は「注文が殺到している。人気の高い店舗では1日当たりの販売数が2万個に達している。当社全体で見ると、1日当たりの販売数は最多で30万個以上に達した」と説明する。ECプラットフォーム・美団のデータによると、ここ1カ月、紫光園の奶皮子酸奶の販売数は前年同期比で145%増となっている。
爆発的人気となっているのを見て、北京ダックのレストランチェーン・全聚徳や局気、方磚廠69号炸醤麺(ジャージャン麺)といった北京の有名なレストランが続々と行動を起こして、奶皮子酸奶を打ち出し、売れ行き好調となっている。
紫光園の奶皮子酸奶はすでに北京のお土産ブランドランキングに入っており、北京が文化、商業、観光を融合させて消費の活力を刺激するというストーリーはまだまだ続きそうだ。(提供/人民網日本語版・編集/KN)
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