中国開発の旅客機C919の販売が進まない理由、認証問題以外にも―仏メディア

Record China    2025年6月23日(月) 8時0分

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フランスメディアのRFIは、中国で開発された旅客機のC919(写真)は販売数がなかなか伸びないとして、その理由を紹介する記事を掲載した。よく言われる米国や欧州での認証以外にも問題があるという。

フランスメディアのRFIは、中国で開発された旅客機のC919(写真)は販売数がなかなか伸びないとして、その理由を紹介する記事を掲載した。よく言われる米国や欧州での認証以外にも問題があるという。なお、中国国内ではC919が「大型旅客機」と紹介されているが、国際的に大型旅客機とは、機内に通路が2本ある「ワイドボディー機」で、座席数が250席程度以上の機体を指す。C919はそれより小型の航空機だ。

製造能力に大きな限界

これまでの報道によると、中国のファンはこのC919を「白竜」と呼び、中国東方航空は乗客からこの機体に対する賞賛の手紙を1000通以上受け取ったという。しかしC919の引き渡しペースは極めて遅い。C919の航空会社への最初の引き渡しは2023年5月で、相手は中国東方航空だった。しかし現在も、中国の空を飛んでいるC919はわずか18機に過ぎない。

エアバスは24年だけでA320シリーズを約600機納入している。エアバスと比較するとCOMACの生産能力は極めて低く、中国の航空会社の需要を満たすにもほど遠い。そのため、たとえC919の台頭によりエアバスとボーイングの寡占状態が今後数年で徐々に崩れるとしても、西側メーカーは今後も中国からの大量受注を見込める。ただし、米中間の緊張関係はボーイングに不利に、エアバスには有利に働く可能性がある。ブルームバーグによると、エアバスは中国との間で300機から500機に及ぶ大型受注についての交渉を進めている。

米国や欧州での認証取得には「長い道」

C919の中国国外市場への進出を阻む最大の障害は、米国連邦航空局(FAA)および欧州連合航空安全局(EASA)の認証を取得していないことだ。これらの認証がなければ、C919は米国や欧州で飛行することはできない。COMACは欧米での認証取得に向けた手続きを開始しているが、認証取得は極めて困難であり、現在の地政学的な緊張関係も認証作業の進展に不利に働いている。EASAのフロリアン・ギエルメ局長は4月28日、フランスの誌の取材に対して、C919のEASAの認証取得には今後3年から6年を要するかもしれないと述べた。

C919の海外進出については、東南アジア諸国の市場に個別に売り込んでいく戦略を採用しているとの指摘もある。東南アジアには島が多い国が多く、それらの国では空路の確保が急務だからだ。こうした国々にとっては、飛行機が地元当局の認証を得ていれば十分との見方だ。

C919におけるもう一つの弱点は、米国政府の指示によりCOMACが5月以降、米国製のLEAP-1Cエンジンを入手できていないことだ。同エンジンの輸出再開の交渉が進められているが、米国のこうした圧力はCOMACに技術依存からの脱却を志向させている。COMACは今後5年以内に、中国の航空エンジン製造会社の中国発動機が開発したエンジンのCJ-1000で、米国製のLEAP-1Cエンジンを代替する計画だ。

先行するC909も海外から高い信頼を得られず

COMACがC919に先行して開発した支線用旅客機のC909(当初の名称はARJ21)は状況がややよい。航空会社への最初の引き渡しは15年11月で、相手は中国の成都航空だった。C909はまた、インドネシアのトランスヌサ航空など、東南アジアへの売り込みにも成功している。

ただし、これまでの生産機数は162機に留まっている。C909には、燃費が悪いとの指摘もある。仏紙のル・モンド紙は、COMACの機体を運用する外国の航空会社には、リースに頼る特徴があると指摘した。業界関係者からは「外国の航空会社は機体の安全性や性能、採算性に不確実性を感じるため、購入よりもリースを選んでいます」との指摘が出ているという。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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