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中国最大級のECイベント「618セール」はもはや割引の祭典にとどまらない。環境配慮や循環経済を軸とした「価値ある消費」のあり方を提示し始めている。
中国最大級のECイベント「618セール」はもはや割引の祭典にとどまらない。京東や天猫を中心とするプラットフォーム各社は、価格競争に加えて、補助的ではあるが、環境配慮や循環経済を軸とした「価値ある消費」のあり方を提示し始めている。
618セールは京東(JDドットコム)の創立記念日である6月18日に由来する販促活動で、2010年に公式イベントとして制度化されて以来、京東にとって最大の年間商戦へと成長した。
当初は京東のみが実施していたが、その高い集客力と販売効果に注目が集まり、天猫(Tmall)やタオバオ(淘宝)、拼多多(Pinduoduo)、抖音(Douyin)など他の主要プラットフォームも参入。現在では「双11(ダブルイレブン)」と並ぶ中国最大規模の消費イベントとなっている。
今年は5月13日から6月20日までという史上最長の39日間にわたって展開されている。中でも特徴的なのは販促構造の大幅な簡素化だ。従来のような煩雑なクーポン配布や予約販売制度がタオバオを除いて影を潜め、代わって「即買即得(即時値下げと即売)」体制が導入された。
Z世代を中心にタイパやコスパ重視の消費行動が広がり、日用品の計画購入が増加。さらに、美団(Meituan)が即時配送型小売モデルで初参戦し、30分配送を実現した。618は「物流競争」から「30分間生活圏競争」へと転換を遂げた。また、「国家補貼(国補)」と連動して低価格化を加速させる一方、政策目標(消費刺激、グリーン転換)とのシナジーが顕著となったのも特筆に値する。
京東がリサイクル家電の特設販売を行うことで環境への関心を呼びかけた一方で、天猫ではユーザーが環境行動を通じて獲得したポイントで寄付や商品と交換できる施策を強化し、「天猫緑動生活」という新名称で展開している。また、伊利やThinkPadは簡易包装(プラスチック削減、インク使用量削減、包装材軽量化、再生材使用など)を展開している。
さらに、菜鳥(Cainiao)は物流回収の強化施策を発表するなど、環境関連テック企業も618最終盤に合わせて存在感を示した。もちろん、京東の618元「全家桶(ファミリーパック)」セットをはじめ、三・四線都市や農村地域では低価格品へのニーズが主流ではある。それでも付加価値としての環境への関心は今後さらに高まりを見せていくはずだ。
京東618セールは6月17日午後8時から始まる「28時間カウントダウン」でいよいよ最終フェーズを迎える。618という巨大な商戦イベントの終幕が偶然にも「砂漠化防止デー」と重なるのは象徴的だ。
今やセール・イベントは単なる消費の場を超え、購買行動を通じて社会課題と向き合う「実験装置」としての側面を持ち始めている。価格のために買うのではなく、未来のために選ぶ。そうした次の消費が静かに始まっている。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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