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日中をつなぐ定期旅客貨物フェリー「鑑真号」の第3世代が6月28日にいよいよ旅客運航を再開する。
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日中をつなぐ定期旅客貨物フェリー「鑑真号」。第3世代となる同船が6月28日にいよいよ旅客運航を再開する。日中両国の人、文化、経済をゆるやかに運ぶこの船は、移動の本質を問い直す旅の象徴でもある。急がず、深く旅する――そんな「新しくて古い」交通手段が再び日中間の海を紡ごうとしている。
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旅の意味を「どこへ行くか」ではなく、「どのように行くか」に求めるライフスタイルが注目されて久しい。いわゆる「スロートラベル」は、移動の効率と距離を置く代わりに、密度の濃いプロセスを私たちに与えてくれるのだ。
スロートラベルにうってつけの乗り物といえばフェリーだ。開けたデッキで潮騒を聞き、ラウンジで本を開き、行きずりの人と言葉を交わす。シャワーで疲れを癒やして床につく間にもゆっくりと船は目的地へと向かっている。
そんなぜいたくな移動時間を体現してきたのが「鑑真号」だ。新聞晨報などの中国メディアによると、新たに建造された第3世代の船が6月28日に旅客初便を出航する予定だ(7月12日以降を通常運航開始日とする見方もあり、後続の公式発表の確認が必要)。
上海を土曜の昼に出発し、月曜の朝には日本に到着するスケジュールで、日本側の寄港地は週ごとに大阪か神戸のいずれかになる。復路は火曜に日本出港、木曜に上海着。片道およそ45時間。ゆるやかに、確かに、日本と中国をつなぐ。
コロナ禍で止まっていた日中定期フェリーによる往来は、当初、2024年9月に復活すると予告されていた。しかし、上海側のターミナル改修が遅れ、今夏まで延期された。それでも、大阪・関西万博の開催期間中に再開に間に合わせたのは有意義だ。
「鑑真号」の歴史は40年にも及ぶ。1985年、初代が上海と日本を結び、1994年には「新鑑真号」がその後を継いだ。いずれも日中間の懸け橋として、多くの旅人を運んできた。そして今、3代目がその任を引き継ぐ。
新造船は長さ167メートル。乗客定員192人で、初代の576人、第2代(新鑑真)の345人と比べると、だいぶ数は絞られてきた。しかし、快適性は飛躍的に向上。畳の客室やスイート、ラウンジやジム、多目的スペースにキッズルームまで、滞在を楽しむためのしつらえがそろっている。
また、環境性能も申し分なく、IMOのEEDIフェーズ3、CCSのG-ECO認証など、主要規準に堂々と応える設計となっている。
新たに上海側の発着地となった軍工路埠頭は、響きは少々硬質だが、整備された旅客ターミナルは広さ1400平方メートルに及ぶ。12日に急病、禁制品、身分確認異常などを想定した総合演習が実施され、安全体制も確認済みだ。
もっとも、船舶を運営する日中国際フェリーの中国語サイトでは乗船料金など情報が未発表で、日本語サイトでもオンライン予約機能がメンテナンス中となっている。それでもメールでの予約受付は行われている。
ちなみに、日本語サイトで公開されている乗船料金のプランを確認すると、片道1人2万5000円の和室相部屋から15万円のファミリースイート(大人2人、子ども2人で1室)まで選択肢は幅広い。バリアフリー対応の部屋もある。
鑑真号が再び海を渡る。それは単なる移動手段の選択肢だけの問題ではない。移動という行為に物語と時間の手触りを与えることを意味する。
時間をかけて、風に乗って、隣国に向かう。人と文化と経済を運ぶ「鑑真号」の復活は、旅することの本質を静かに思い出させてくれるはずだ。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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