中華発キャラクターの「LABUBU」が世界を席巻したのはなぜか―中国メディア

Record China    2025年6月18日(水) 6時0分

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中華発のキャラクターのラブブ(写真)の人気が、世界を席巻中だ。中国メディアの経済日報はこのほど、ラブブが多くの人の心をつかんだ理由を分析し、その背景に存在する状況を紹介する記事を発表した。

中華発のキャラクターのLABUBU(ラブブ)の人気が、世界を席巻中だ。4月に米国でLABUBUの新シリーズが発売されたところ、関税の上昇で価格が約30%跳ね上がったにもかかわらず、販売店の前には長蛇の列が発生し、2倍の価格で転売される現象も出現した。タイでは公式に「観光大使として働く」ことになった。シンガポールではマーライオン型の限定版が発売直後に完売した。スペインでは街角でLABUBUのテーマソングが流れている。中国メディアの経済日報はこのほど、LABUBUが多くの人の心をつかんだ理由を分析し、その背景に存在する状況を紹介する記事を発表した。

「カワイイ」と言い切れないLABUBUが人気爆発

まず、LABUBUは「カワイイ」とは言い切れないデザインだ。ギザギザの歯、見開かれた丸い目、不釣り合いな体のプロポーションは、「萌え系」として人々を引きつける基準を逸脱している。

心理学者によると、人の脳では想定外の刺激を受けた場合に防御反応が生じる。しかしその刺激を繰り返し受けても害はないと判断すると防御反応が緩み、「奇怪」あるいは「ユニーク」で魅力的な存在として認識されるようになる場合がある。ドリアンの独特の匂いも最初は不快だが慣れるとやみつきになるのと同じだ。

人によっては、いわゆる「ブサカワ」(不細工だがカワイイ)」な対象として大好きになる。つまり、LABUBUは万人に受け入れられるとは限らないが、人はいったん魅了されれば従来型のキャラクター以上に愛着心を持つようになる。

香港と大陸が「アート+製造販売」の協業

LABUBUの製造販売を手掛けるポップマートの創業者である王寧会長兼最高経営責任者(CEO)は河南省の出身だ。生まれは1987年で、北京大学光華管理学院で修士号を取得している。ポップマートを創業したのは2010年だった。

王会長は香港で開催される展示会などにしばしば足を運んで「お宝探し」をした。そこで出会ったのが香港人デザイナーの竜家昇(カシン・ロン)氏で、ポップマートと契約したロン氏が、LABUBUのデザインおよび「世界観」を手掛けることになった。

LABUBUは、中華発のキャラクターを世界全体の市場に送り込んだこと、すなわち中国から世界に向けての価値創造を実現した点で画期的だ。王会長は「以前は『中国のディズニー』を目指していましたが、今は『世界のポップマート』にしたいです」と語ったことがある。

王会長のかつての夢は現実になりつつある。ポップマートの24年の海外での売上高は前年比375.2%増の50億7000万元(約1000億円)だった。25年第1四半期(1-3月期)の海外での売上高は前年同期比475%-480%の伸びだった。

業界関係者は、LABUBUの成功は中国発の知的財産権の「新航海時代」の到来を示す節目と評価している。これまでの中国の製品のように東洋的な図案に頼ったのではなく、「伝統文化というレッテルなし」の商品を世界市場に浸透させたからだ。

LABUBUを「東莞の業界力」、ただし課題も

ポップマートの重要な製造拠点は広東省東莞市にある。東莞市には玩具製造企業が4000社以上あり川上および川下の関連企業も約1500社ある。同市は中国最大の玩具輸出基地であり、世界のアニメ派生グッズの4分の1が製造されている。これまでの東莞市は、海外の委託者の指示通りに委託者ブランドの製品を製造するODM企業の集積地という地位に甘んじてはいたが、それでも産業としての経験と技術を蓄積してきた。

例えば、LABUBUにはソフトビニールとぬいぐるみ素材を融合させたという画期的な面があったが、東莞市の工場は、部品ごとに金型を起こす作業で精密さを実現する技術力を発揮した。ポップマートの協力工場からは「LABUBUが作れたのですから、世界中のキャラクターグッズが作れます」の声も出ており、東莞市の関連業界は改めて自信をつけたという。

ただし、大いに活気づいた中国のキャラクターグッズ業界も、一方では課題に直面している。すでに模倣品および粗製乱造の海賊版がブランド価値を損ねる現象が発生しており、真贋管理とサプライチェーン制御の強化は急務だ。また、人工知能(AI)を利用するなどで人にとって「よりスマートなパートナー」となりうる商品も急速に台頭しており、従来型のキャラクターグッズにとって潜在的な脅威になっている。経済日報は「知的財産に、感情面でのよりの深い交流という価値を注入できるかどうかが、今後もユーザーを引きつけ続けられるかどうかの鍵になる」との見方を示した。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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