少子化対策に必要なのは愛と給付と結婚休暇?中国で広がる長期婚休と日本の現実

邦人Navi    2025年6月15日(日) 9時0分

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中国各地で結婚休暇の期間を延長する動きが加速している。写真は中国のご祝儀袋。

中国各地で結婚(婚姻)休暇の期間を延長する動きが加速している。四川省は20日間、山西省は最大30日間。一方、日本は法定の結婚休暇制度がなく、企業ごとの慶弔休暇制度により平均5日程度にとどまっているのが実情だ。年間予算7兆3000億円を誇るこども家庭庁が繰り出す施策も「骨太」とは言いがたい。

中国で「婚休」拡大トレンド

中国では今、結婚に対する制度的支援が急速に拡大している。四川省は結婚休暇を5日から20日に、山東省も最大18日に延長。さらに山西省では一部都市で最大30日の結婚休暇制度が導入されており、甘粛省でも同様の方向で条例改正が進められている。

背景には、都市で働く若者が地元に戻って挙式を行う際の移動日程や準備期間への配慮がある。婚前健康診断への参加を条件に追加休暇が付与される地域もあり、結婚から出産・育児へと続くライフステージ全体を支える「制度の先回り」が印象的だ。

2024年5月施行の「婚姻登記条例」改正により、婚姻登録も戸籍地に縛られず全国どこでも可能となり、利便性はさらに高まった。

日本の結婚休暇、制度不在という現実

一方の日本では、全国または自治体単位で定められた法的な結婚休暇制度は存在せず、民間企業や公務員制度に委ねられている。

民間企業では平均5日程度の特別休暇が与えられるケースが多いが、非正規雇用者は対象外となることが少なくない。国家公務員は婚姻日から1カ月以内に連続5日間の取得が認められているが、申請のタイミングや運用に制限がある。地方公務員も対応は自治体によって異なり、事実上、自己責任で調整せざるを得ない仕組みとなっている。

「骨太」とは言いがたい日本の少子化対策

日本政府は25年度、こども家庭庁に約7兆3000億円の予算を投じ、「こどもまんなか実行計画2025」を6月6日に閣議決定。妊娠・出産時の10万円給付や児童手当の所得制限撤廃、育休給付の実質10割化などの施策が盛り込まれた。

しかし、24年の出生数は68万6061人と過去最低を記録し、前年から約4万人減。危機的な状況にもかかわらず、これらの施策が「骨太の方針」と言えるのかについては疑問の声も多い。

注目を集めたパントンライの結婚支援策

これは稀有な事例かもしれないが、中国の民間企業が独自に結婚支援の合理化に踏み出す場合もある。河南省のスーパー「胖東来(パントンライ)」はその象徴的な存在で、新婚社員に向けて手厚い福利厚生の制度を設置し、結婚時には一律2000元(約4万円)の祝い金を支給する。

一方で、企業理念として「自立推奨方針」を掲げ、親の援助に頼った住宅や車の購入が禁止されているのも注目に値する。従業員同士の公平性を促進し、企業文化を一層強化する狙いもあるとみられている。

「自由」が建前になっていないか

前述した通り、日本では結婚に伴う休暇や経済的支援が法的に保障されておらず、結果として個人の裁量や「自由」の名の下に支援が限定的なものにとどまっている。結婚・出産を巡る不安や孤立感が若年層に広がる背景には時間と金銭の両面での制約がある。

本格的な少子化対策に日本が取り組むとしたら、やはり啓発事業にとどまらず、現実的な制度整備を伴いたいところだ。例えば、最低基準を伴う結婚休暇制度の導入、非正規雇用者を含む福利厚生の拡充、経済的給付の強化などだ。若者が必要としているのは「制度的安心感」だとされている。いわば「愛と給付と婚姻休暇」といった実効性ある支援が望まれているのだろう。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)

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