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中国の今年の大学入試では技術と法規で不正受験を徹底的に封じた。
中国で7日に大学入学試験「高考」が開始した。教育当局は「技術」「制度」「意識改革」の三軸で不正対策を強化。国内外から注目が集まる中、公平性確保のための多角的アプローチが進められている。
前年から7万人減少したとはいえ、2025年の中国大学入試「高考」の受験申込者は依然として多く、1335万人に上った。初日の7日、上海はちょうど梅雨入りと重なり、試験はあいにくの雨の中での実施となった。
関連報道によると、会場周辺では、旗袍(チャイナドレス)をまとい、ひまわりの花束や「逢考必過(必ず合格を)」と書かれた応援グッズを手にしてわが子を見送る保護者の姿が多く見られた。また、会場界隈では車のクラクションの使用が一時禁止されるなど、警察やボランティアが連携し、静かな受験環境づくりに尽力。社会全体が一丸となって高考を支える光景が広がった。
もっとも、こうした中国ならではの風物詩的風景は、もはや話題の主役ではなくなっているようだ。むしろ今年は例年以上に、カンニングや替え玉受験といった不正行為への対策強化に注目が集まった。
試験時のカンニングといえば、紙のカンペや隣席の覗き見というのは昔からの定番だろうか。今年、日本で実施された共通テストでは、机に数学の公式を書き込んでいた不正行為が発生していたことが報道で取り上げられた。これも原始的な手法に属するといってよいだろう。
一方、中国では0.3mm厚の無線機器、マスク内のマイク、スマートウォッチを通じたリアルタイム通信など、テクノロジーの進歩がカンニング行為を高度化させている。そのため、中国教育部は今回の高考の実施に際して、次に示す対策を講じるなど不正発生防止に向けた体制を徹底させた。
スマート検査門による事前検知:
従来の金属探知機を上回る感度で、あらゆる電子機器を検出。
電波遮断装置の導入:
違法無線機の使用を防止するため、特定周波数帯の干渉装置が設置された。
監視カメラ+AI動作解析:
動作パターンから不審行為をリアルタイムで検出、即時アラートを発動。
これにより、行為の成立条件自体を潰す「制度的封じ込め」が機能し始めている。
制度のもう一つの柱は刑罰だ。中国では刑法第284条により、組織的なカンニング行為は最大7年の実刑が科される。さらに、成績の全科目無効、卒業延期、受験資格の一時停止(1~3年)など、教育行政的な制裁も組み合わされる。
罰則の対象が「行為」ではなく「構造」へ拡大されていることが重要だ。替え玉業者や共犯者にまで及ぶ点に、中国の制度設計の厳密さが表れている。
一方、5月18日、京都大学大学院に在籍する中国籍の留学生が名前を偽って英語能力テスト「TOEIC」を受けようとし、逮捕されるという事件が発生した。容疑者は偽造学生証を使い、マイク付きマスクを着用。受験者に問題の解答を伝えようとしていたとされる。
ちなみに容疑者と同じ住所を記載して受験を申し込んだのは40人以上に上り、試験会場が住所で自動的に割り当てられることを利用して、集団で不正を行う計画があったとみられている。日本側の制度設計の甘さと国境を越えた不正ネットワークの存在を浮き彫りにしたことが衝撃を与えた。
人工知能(AI)を使った予想問題ビジネスが広く出回りながらも、専門家や当局によってその効果の疑問点が指摘され、摘発が行われている。ただ、専門家の多くは、取り締まりにとどまらず、現在の記憶力を測る出題から思考力、判断力、表現力を評価する出題に転換していくことが必要だとしている。
これまで見たように、中国における不正防止の枠組みは「予防」「摘発」「処罰」の三層構造で整備され、実効性が示されてきた。今後、試験制度の信頼をさらに高める鍵は「問い方」に鍵があるというわけだ。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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