「わが国のごみ問題はどうなっているのか」中国メディアが事態の推移と現状を紹介

Record China    2025年6月14日(土) 15時0分

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中国メディアの澎湃新聞は国連が定めた環境の日の5日、中国のごみ問題の事態の推移と現状を紹介する記事を発表した。写真は北京市通州区で稼働するごみ焼却発電所。

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中国メディアの澎湃新聞は国連が定めた環境の日の5日、中国のごみ問題の事態の推移と現状を紹介する記事を発表した。

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中国では一時期、「都市がごみに包囲される」という深刻な環境問題があった。2020年2月末には中国最大のごみ埋却場所だった陝西省西安市内の灞橋江村溝ごみ埋却場が閉鎖された。この埋却場はサッカーのピッチ100面分に相当する約67ヘクタールの面積があり、設計上は50年間稼働する予定だったが、都市ごみの発生が急増したために、25年使用しただけで「引退」した。

しかし同じ年、中国ではごみの焼却量が埋却量を追い越し、都市部で出る生活ごみについての最大の処分方式になった。23年には都市部の生活ごみのうち78.3%が焼却によって処理され、埋却の割合は13.2%にまで低下した。

中国ではごみ焼却による発電事業も発達した。生活ごみ焼却発電所の建設を加速するため、生活ごみ焼却発電事業者には送電網への接続や売電価格での優遇措置が与えられ、電力網企業はごみ焼却発電による売電量を全量買い取ることが義務付けられた。このことで、多くの企業がごみ焼却発電業界に参入した。

一方で中国政府は16年、ごみ焼却発電所に対して「設置(汚染源自動監視装置の設置)」「掲示(目立つ場所に汚染排出データ表示スクリーンを設置)」「接続(企業の自動監視システムを当局の環境保護部門と接続)」を義務付け、情報公開と社会参加の強化を図った。また、20年には一般市民がインターネットを利用して、全国のあらゆるごみ焼却所における窒素酸化物、二酸化硫黄などの汚染物質の排出濃度や、ダイオキシン発生に影響する炉内温度データを確認できるようにした。


焼却発電所監視プラットフォームで公表された中国各地で稼働中のごみ焼却炉の設計処理能力では、16年には1日当たり23万8000トンだったが、24年には116万6000トンに達した。中央政府の住宅建設部が公布した「都市生活ごみ焼却処理工事プロジェクト建設基準」では、ごみ焼却炉の理想的な年間稼働時間は8000時間と定められている。これに基づいて計算すると、24年末時点で中国国内のごみ焼却設計能力は都市部の生活ごみの収集量を上回る年間3億8800トンに達した。

しかし、焼却発電所監視プラットフォーム上の2138基のごみ焼却炉のうち107基では停止時間が年間で50%を超えた。つまり、中国全体のごみ焼却発電所のうち5.0%は、半数以上の時間を「遊んで」いたことになる。

ごみ焼却発電事業は、投資することにより施設を建設し、売電により収入を得るビジネスモデルだ。設備の稼働率の低さは経営に直結する問題だ。河南省鶴壁市はこの問題に対応するために、22年10月末までに市内のすべての郷鎮・県区から生活ごみを運搬させる方式を導入した。中国で省クラスの行政区のすぐ下に置かれる市は地級市と呼ばれる。地級市の行政区画は一般的にかなり広域に及び、その下に郷鎮や県などの行政区が設けられる。鶴壁市の同措置は、日本に例えるならば、大阪市が設置したごみ焼却発電所に、関西地方で出た生活ごみをすべて集めるようなものだ。鶴壁市はさらに、隣接する安陽市から9万トンの生活ごみを調達し、さらに埋却されていた古いごみを掘り起こし、9万1000トン分を補填した。

埋却ごみを掘り起こす際には、メタンガスの漏出や浸出液の漏れなどの環境リスクがある。また、新しいごみに比べて可燃物の含有率が低いため、一定の割合で新しいごみと混焼する必要がある。

ただし埋却ごみを掘り起こして焼却することには、別の狙いもある。例えばごみは焼却しても灰が残る。この灰は技術面の制約から再資源化できず、埋却するしかない。そのため、将来を考えれば埋却された古いごみを掘り出して焼却して、焼却後の灰を埋却する容積を確保しておくことが望ましい。


中国全体を見れば、焼却能力が過剰な地域がある一方で、全国の75%を超える県レベル行政区で生活ごみの焼却処理能力が不足している。特に中国北西部の陝西省、甘粛省、寧夏回族自治区、青海省、チベット自治区、内モンゴル自治区、新疆ウイグル自治区、さらに東北地方の黒竜江省、遼寧省、さらに雲南省、四川省、重慶省、湖北省、湖南省で、ごみの焼却処理の不足が目立つ。

中国都市部の生活ごみ衛生埋立場はピーク時の663カ所から現在では366カ所にまで減り、減少率は44.8%に達した。しかし県レベル行政区の減少率は29.5%にとどまっている。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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