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中国当局は自動車業界で激化する価格競争に歯止めをかけるため、監督を強化する方針を打ち出した。価格競争が激化で業界再編の可能性も浮上している。写真はEV車。
中国工業情報部は5月末、自動車業界の健全性と持続可能な発展にとって脅威だとして、業界に対して激しい価格競争に歯止めをかけるよう求めるとともに、価格競争への監督を強化する方針を打ち出した。ロイター通信が伝えた。価格競争が激化で業界再編の可能性も浮上している。
ロイター通信によると、中国の自動車業界では競争激化に伴い、一部大手自動車メーカー間で緊張が高まっている。価格競争は2023年初頭に始まり、政府と業界の懸念をよそにほとんど収まる気配がない。
電気自動車(EV)最大手、比亜迪(BYD)は20を超える車種で新たな値引きを発表。最安モデルであるハッチバック「シーガル」の最低価格を6万9800元(約140万円)から5万5800元に引き下げた。
自動車大手、長城汽車の魏建軍会長は経済誌のインタビューで、中国の自動車業界は価格圧力によってメーカーとサプライヤーの利益が圧迫されており、不健全な状態にあると警告。債務危機の末に昨年破綻した不動産大手、中国恒大集団を引き合いに「自動車業界の恒大集団は既に存在しているが、まだ破綻していないだけだ」と述べた。
コンサルティング会社、サイノ・オート・インサイツのマネジングディレクター、トゥ・リー氏はBYDの値下げなど一連の動向について、弱小企業が価格の下落スパイラルによる損失に持ちこたえられなくなる「転換点」の兆候かもしれない、と指摘。「今年後半には血の海となる恐れがある。新興のNetaやポールスターなど既に危機的状況にある弱小EVメーカーを最終的に押し倒す最初のドミノになりかねない」と語った。
これに対し、工業情報部は法執行機関と協力して不当競争に取り組み、必要な規制措置を講じると表明。SNSの微信(ウィーチャット)に「価格競争に勝者はなく、未来もない」と投稿。消費者を保護し、質の高い業界発展を促す姿勢を強調した。
中国自動車工業会(CAAM)も5月31日、価格競争は収益性と効率性に影響するとして「休戦」を呼び掛け、自動車各社に公正な競争の原則を守り、大企業が市場の独占を控えるなどの改善策を提案した。
コンサルタントのマイケル・ダン氏は「中国自動車業界の再編は以前から予想されてきたが、市場はむしろ拡大を続けている」と言及。「BYDの値下げは一部の弱小企業を市場から追い出すだろうが、ここでは敗者が出るたびに新たな小米科技(シャオミ)や華為技術(ファーウェイ)が市場に飛び込んで来る」との見方を示した。(編集/日向
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