「観音の群島」に高速鉄道が直結へ、海底貫く巡礼トンネルの海域部が始動―中国

邦人Navi    2025年6月7日(土) 5時0分

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中国浙江省の群島都市・舟山と本土・寧波を結ぶ高速鉄道「甬舟鉄道」が大きな節目を迎えている。

中国浙江省の群島都市・舟山と本土・寧波を結ぶ高速鉄道「甬舟鉄道」が大きな節目を迎えている。全長16.18キロの金塘海底トンネルで、シールドマシン「甬舟号」がついに海域部に突入した。海を貫く旅が現実のものとなりつつある。

海底を貫く高速鉄道

舟山は約1390の島から構成される中国唯一の群島型地級市だ。寧波舟山港や仏教の聖地である普陀山を有し、豊かな海洋資源と独自の文化を育んできたことで知られる。日本国内でいうと、五島列島や呉、今治、さらには比叡山の要素を併せ持つエリアに例えられるかもしれない。

そんな舟山が2028年に甬舟鉄道によって鉄路で本土と結ばれる。同鉄道の象徴的な存在が全長16.18キロに及ぶ金塘海底トンネルで、浙江省寧波市東駅から舟山市白泉鎮までの全長約77kキロを高速鉄道で結ぶ。

青函トンネルとの比較

甬舟鉄道の設計最高速度は時速250キロ。開通後は舟山~寧波間の所要時間が現在の2~3時間から約30分と大幅な短縮が見込まれている。金塘海底トンネルに加え、西堠門をまたぐ全長1488メートルの公鉄併用橋(道路と鉄道の兼用橋)など、先進的なインフラが導入され、長江デルタ圏の一体化を見据えた広域プロジェクトとして注目されている。

海底トンネルを走行する高速列車としては、日本がすでに青函トンネルで実現している。ただし、新幹線と貨物列車が共用されており、速度が時速160キロ程度に制限されているのが現状だ。そのため速度制限の要因を取り除き、高速鉄道専用で設計されたという点で、甬舟鉄道は世界に類を見ないものとなる。

上海~舟山40分構想も

甬舟鉄道の開通後は、さらに上海と舟山をわずか40分で直結させる構想もあるという。上海を中心とした「長江デルタ1時間圏」の版図はさらに拡張していく見通しだ。

海底を貫く高速鉄道は単なる交通インフラの進化にとどまらない。都市の構造を変え、経済圏を再編し、人と地域の関係性そのものを問い直す力を持つ。舟山で進むこの壮大な試みは、まさに次代のフロンティアを切り拓く装置といえるだろう。

一方で、日本にも福岡と五島列島のように、本土と離島の構造的隔たりを抱える地域は存在する。だが、五島と本土を結ぶ高速鉄道構想は現実味を帯びておらず、長崎新幹線のフル規格整備さえ先行きが見えないのが現状だ。

交通網の差はやがて地域の活力や未来像にもつながっていく。舟山が海を越えてつながるその日、日本の「島と都市」の関係にも改めて光が当たるべき時なのかもしれない。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)

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