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「平成の米騒動」から30年余り、日本と中国ののコメ生産高にはGDPの規模よりも大きな格差がある。写真は山形県。
日本でコメ不足と価格高騰が進む一方、中国は「米飯自由」を確保している。「平成の米騒動」から30年余り、両国のコメ生産高にはGDPの規模よりも大きな格差がある。
炊きたての白いご飯。たまごかけ、梅干し、鮭の塩焼き──それだけで小さな幸せを感じられるのが日本人の食卓だった。ところが今年、そのささやかな幸福にスーパーの棚の値札が立ちはだかっている。5キロで4000円超える高騰ぶり。1年でざっと倍額になった計算だ。
視線を中国に向けると、「米飯自由」というどこか詩的な言葉が生きている。経済的な負担をそれほど感じることなく気兼ねなく手にすることができることを意味する。もちろん、その自由は一朝一夕に実現したものではない。「ハイブリッド米の父」と呼ばれた袁隆平氏の功績や、技術革新の積み重ねによるところも大きいことだろう。
そして1993年。この年は、日中両国にとって「食の運命」が分かれる転機となった。中国では長年続いた配給制度(糧票)が正式に廃止され、「米飯自由」がもたらされたのに対し、日本では記録的冷夏によって「平成の米騒動」が起きたのだ。
平成の米騒動は主食のコメの増産へかじを切るべしとの天からの警鐘だったのかもしれない。だが日本は、備蓄制度こそ整えたものの、減反政策の根本は見直されず、2018年まで継続。その後も、補助金による転作奨励という形で、事実上の減反が続いているとされる。
結果として日本の自給率は38%。1970年代には70%超を記録していたことを思えば、これは深刻な後退だ。対して中国は、主食三大作物(米、小麦、トウモロコシ)の自給率が95%以上といわれる。まさに農業強国の面目躍如といったところだ。
「工業を守るために農業を犠牲にした」とも言われてきた日本。だが、今や自動車産業すら盤石ではないという見方さえある。BYD(比亜迪)に続けとばかり、シャオミ(小米)がスマートフォンや家電だけでなく電気自動車(EV)分野でも頭角を現してきた。10年以内の世界トップ5入りを目標に掲げ、日本市場への進出を果たす日も近いかもしれない。
周知の通り、日本は米国から「大米(ダーミー)=米」を輸入している。すなわち、日本は今、「米国からの大米」と「中国からの小米」という大小の米に挟まれるという現実に直面している。
こうした状況の中、日本の政界ではコメを巡る政治家の名言、迷言が相次ぎ世間を騒然とさせている。「日本のコメを世界に届けるのが責任」と石破茂首相がコメ不足中の輸出優先方針を示したかと思えば、「コメは買ったことがない」と発言して江藤拓議員が農水相を辞任。代わって入閣した小泉進次郎農水相は「コメは(備蓄期間によって)減価償却される」と発言し、会計用語の誤用が波紋を呼んだ。
また、国民民主党の玉木雄一郎代表は「1年たったら動物の餌になる」と備蓄米を評して物議を醸した。「トマホークはかじれない」と、コメの増産に向けた取り組みを重視すべきと訴えていた八幡愛議員(れいわ新選組)の発言も注目に値するだろう。
「気力」「気概」「気配」、そして「景気」──これらは本来、「氣」という文字に含まれた「米」から始まっている。戦後、その文字から「米」が取り除かれるや、食生活は多様化し、いつしか日本人の暮らしから「米の気配」さえ失われつつあるような事態になった。
だが、「コメを食べる自由」とは、単なる食生活スタイルの選択肢という話ではない。本気で「景氣」を浮揚させたいのなら、今こそ、内なる「米」を取り戻す時だ。そんな思いを強くしている日本人は多いのではないだろうか。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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