中国に対抗し米がカンボジアの空港建設の支援を検討、ただし障害も―香港誌

亜洲週刊    2025年6月2日(月) 9時0分

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米国がカンボジアの首都新空港建設の資金援助を検討している。資金援助が実現すれば、カンボジアに対して強い影響力を持つ中国との競争になる。写真はカンボジア国際空港。

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香港誌の亜洲週刊はこのほど、米国がカンボジアの首都新空港建設の資金援助を検討している話題を取り上げた。カンボジアについては中国が強い影響力を持つが、米国による資金援助が実現すれば、米中がカンボジアに対する影響力を競うことになるという。

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カンボジアでは首都プノンペンから南に20キロの地点で、新首都空港であるテチョー国際空港の建設が進められている。建設開始は2020年で、第1期分は今年7月に開業する予定だ。同空港の年間旅客数は1300万人に達し、すでに年間利用者がほぼ500万人の上限に達している現行のプノンペン国際空港に代わる存在になる。

問題は、同空港の建設では投入資金が予定を大幅に上回っていることと、資金源が不安定なことだ。第1期分として11億ドル(約1600億円)の費用を見込んだが、現地メディアは資金投入がすでに15億ドル(約2200億円)を超えたと報じた。

建設中の新プノンペン国際空港(テチョー空港)

同空港に対しては、カンボジア政府が10%、華僑でカンボジア金融界で最も重要な人物の一人であるプン・キアウ・サエ氏が経営する投資会社が90%を出資した。さらに、当初は中国銀行が融資を行っていたが、中国銀行は19年に融資を打ち切った。そのため、建設プロジェクトは資金難に直面し、債券の発行に踏み切った。

一方で、米国では国務省の管理下にある国際開発金融公社(DFC)がテチョー空港建設に対する資金援助を検討するようになった。DFCはテチョー空港についての環境と社会への影響評価を発表し、7月12日まで一般からの意見募集を行う。ただし、資金援助についてはテチョー空港建設の第1期分だけを対象にすると発表した。支援規模、融資条件、資金用途については具体的に明らかにしていない。DFCはトランプ第1期政権時に創設された組織で、民間部門への資金提供を行っている。

米国とカンボジアの関係は、トランプ政権の関税政策の影響で、極端に悪化した。しかし米国側に変化が生じ、カンボジアの新空港計画に関心を寄せていることは、カンボジアに対する中国の影響力を抑えようとする動きだ。中国は、カンボジアのリアム海軍基地の改修に参画し、両国は同軍港で共同の兵站センターを設立した。米国はこれについて中国の単独利用を目的としたものだと非難している。

中国は従来からカンボジアにおいて巨大な影響力を有しており、カンボジアに対する最大の投資国でもある。一方で、米国は中国がカンボジアを通じて原産地偽装を行い、中国製品を低関税で米国に輸出していると非難し、カンボジア製の太陽光発電製品に対しては35倍の関税を課した。するとカンボジアは、米国に対してその立場を勘案するような動きに出た。つまり輸入品の規制を強化し、中国などの企業が中継地として利用して原産地を偽装するのを防ごうとするようになった。これら一連の動きは、中米カンボジア三国間の関係が変化していることを示している。

プノンペン国際空港

米国のテチョー空港への関与について、大きな障害になるとみられるのが人権面の問題だ。米国務省の2021年および22年の人権報告は、テチョー空港の建設で現地住民が強制的に移転させられたことや、方僑生の企業が農民の財産を市場価格以下で買収したといった事例を挙げて、人権問題があるとの見方を示した。このことは、DFCのテチョー空港に対する資金援助を難しくする要因とされている。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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