散文作家・詩人の柴田海さん、ピアノ演奏を通じて時空を超えた音楽の魅力を披露

Record China    2025年6月1日(日) 13時10分

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柴田海(しばた かい、中国語名は柴思原)さんは社会科学を研究する一方で、詩歌や各種散文の発表など幅広く活躍している。柴田さんにはもう一つの顔がある。ピアノ演奏者だ。

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柴田海(しばた かい、中国語名は柴思原)さんは、社会科学を研究する一方で、詩歌や各種散文の発表など幅広く活躍している。柴田さんにはもう一つの顔がある。ピアノ演奏者だ。早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)のキャンパスピアノイベントでも、何度も演奏をしてきた。そこで柴田さんに音楽関連のお話を伺うことにした。

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■ 音楽を愛する人として、ピアノ芸術の魅力はどこにあるとお考えですか。

 

ピアノの魅力には二つの側面があると思います。まず聴き手にとってのピアノの魅力とは、言語の壁を越えて、目に見えない橋のように異なる文化背景を持つ聴き手同士を結びつけることです。音は文字や映像なしで人の内面に直接響きます。異なる文化の聴衆がピアノの音に涙し、あるいは奮い立つとき、ピアノは音を通じて言語の隔たりを取り払っているのです。

 

次に演奏者にとって、ピアノの魅力は楽譜に残された余白にあります。演奏者は(音符では書けない)空白部分を、音楽史の研究や自身の想像力と解釈を通じて埋めていかねばなりません。楽譜に存在する不確定性こそが、演奏者を「研究者兼創造者」に変えるのです。演奏者は音楽史を深く探究し、一方で自らの時代感覚を土台にして創造せねばなりません。同じ楽譜から異なる演奏が生まれるのは、個人によるこのような差があるからです。この演奏の多様性こそが、ピアノ芸術を常に新しく、生命力あるものにするのです。

早稲田大学校友会が発行する「早稲田学報」の2025年2月号 国際文学館を特集

 

■ 演奏者が直面する試練とは何でしょうか。

 

ピアノ演奏における最大の課題は、三つのバランスを取ることにあると思います。つまり、歴史的背景に基づいて作品本来の風格を再現すること、作曲者の創作意図を尊重すること、そして演奏者自身の創意を注ぎ込むことです。また、練習室でいくら入念に仕上げても、舞台では緊張によるミスもあれば、思いがけないインスピレーションが湧くこともあります。この予測不能な要素も、演奏の一部なのです。

 

■ 演奏における即興の魅力とは何なのでしょうか。

 

即興の魅力とは、同じ景色でも季節が違えばまったく別の美しさを見せてくれるようなものです。たとえば冬の寂しさや雨の激しさにも、それぞれの美があります。そのような美が、晴れた春の日の美しさに劣るとは限りません。同じ曲を何度も弾いても、演奏者のその時の心境や状況の違いによって毎回異なる表現が生まれます。このような一度きりで再現できない瞬間こそが、芸術のもっとも感動的な部分です。

 

もちろん、即興は演奏者のその場の臨機応変な反応によるものですが、それ以前に、深い積み重ねのあることが大前提です。舞台俳優の場合、台本を何度も読み込んで完全に理解し、共演者とは十分に息が合う状態になり、互いに信頼関係を構築してこそ、そうした枠組みの中での本番での霊感を引き出せるわけです。演奏者の場合にも、そうした状況は同じかもしれないです。(取材/RR)

ピアノを演奏中の柴田海さん

 

【プロフィール】

柴田海(別名:柴思原)

早稲田大学で経済学士号および政治学修士号を取得し、現在は早稲田大学政治学研究科の博士後期課程に在籍。社会学の研究を進める一方で文学創作の分野では科学普及、文芸評論、詩歌を手がけ、これまでにエッセイ集や詩集を多数出版した。ピアノを学び始めたのは5歳。早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)のキャンパスピアノイベントでも、何度も演奏している。

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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