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四川省綿陽市が週休2.5制度の試行を発表し、話題になっている。写真は四川省内のカフェ。
四川省綿陽市が週休2.5制度の試行を発表し、話題になっている。日本ではプレミアムフライデーはもとより、半ドンも死語化しているが、中国では午後の自由の再評価から景気の浮揚を目指す試みが浸透を始めている。
四川省綿陽市が発表した「2025年消費活性化特定行動計画作業一覧」の中で、「週休2.5日弾力勤務制」の試行が提案された。金曜を半日出勤とし、午後を休暇とすることで週末へと滑らかに連結させ、消費を刺激しようという試みだ。
日本に例えるならプレミアムフライデーの進化版、あるいは東京都が試す週休3日制の未完成版と見られるだろうか。金曜日の半休と土日との相乗効果で週末経済が活性化すれば、子育てや学び直し、観光消費が動き出し、可処分時間の増大が消費の追い風になるという期待がある。
ただ、17年に試験導入されたプレミアムフライデーは、「金曜は早めに退勤し、豊かに過ごす」という宣言だけは立派だったが、定着することなく人々の記憶からも薄れてしまった感がある。
「半日出勤」と聞いて、懐かしさを感じる向きもあるだろう。それは昭和時代に存在した「半ドン」という慣行だ。正午に鳴る号砲「ドン」や、オランダ語で 休日を意味する「zondag(ゾンターク)」が由来など呼称には諸説ある。土曜午前のみ勤務、午後は休みというリズムは控えめながらも豊かな自由時間を生み出していた。
週休2日制の普及とともにそんな「半ドン」文化は消えていったが、その後に現れた「ハナキン」「ハナモク(花の木曜日)」といった言葉も、バブル経済が終焉し、長期的な実質賃金の停滞の時代に入ると、自然と忘れ去られていった。
プレミアムフライデーやハッピーマンデーはいわずもがな、休暇制度に関する呼称はしばしば人を煙に巻く。日本では週休2日制という言葉が、たとえ月に1回の土曜休みでも使われることがあることには注意が必要だ。
中国でも「大小週(だいしょうしゅう)」という制度がある。1週目は6日勤務、2週目は5日勤務というサイクルが交互に続くもので、これも週休2日という言葉に包まれて実態が見えにくい。
また、中国の「調休」制度(祝日を連休化するための振替勤務)も、形式的には休暇を増やしているようで、実際には週末が潰れるケースも多く、ネット上ではたびたび批判の的となる。
プレミアムフライデーが定着しなかった背景には、日本が30年にわたって実質賃金の停滞と可処分所得の減少に直面していたことが大きいだろう。時短やワークライフバランスという理念を掲げる以前に、根本的な生活基盤の改善が求められていたのだ。
言葉の装飾に終始し、実態を伴わない制度設計は、かえって働き方や生活の質を見誤らせるリスクがある。そうした中で、四川省綿陽市が金曜午後という「準休日」の導入を図り、半ドン経済の創出を模索していることは注目に値する。
たかが半ドン、されど半ドン。失われた「自由な時間」の再構築こそが、これからの経済と生活のインフラを強固にする鍵となるのかもしれない。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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