中国「一帯一路」の債務返済、2025年は最貧国負担が過去最高に―豪シンクタンク

Record China    2025年5月31日(土) 17時0分

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世界の貧困国は2025年に対中債務返済額が過去最高に達するとの報告書を豪シンクタンクが発表。中国は2010年代に巨大経済圏構想「一帯一路」の下、港湾、道路などの建設事業に融資してきた。写真は人民元。

世界の貧困国は2025年に対中債務返済額が過去最高に達し、「債務の津波」に直面するとの報告書をオーストラリアのシンクタンクが5月末、発表した。AFP通信などが伝えた。中国は2010年代に巨大経済圏構想「一帯一路」の下、アフリカの砂漠から南太平洋の熱帯地域に至るまで港湾、鉄道、道路などの建設事業に融資してきた。

AFP通信などが紹介した豪州のシンクタンク「ローウィー研究所」の報告書によると、新規融資は減少し、現在は開発途上国の対中債務の方が上回っている。 研究者のライリー・デューク氏は「途上国は中国への債務返済と利息支払いの津波に直面している」と指摘。「今後、中国は途上国にとって、銀行というよりも債権回収者となるだろう」と述べた。

ローウィー研究所は世界銀行のデータを精査し、途上国の返済義務を計算。75の貧困国の25年の対中債務返済額は「過去最高」の合計220億ドル(約3兆1000億円)に上るとしている。

返済額は途上54カ国でパリクラブ(債権国会議)への債務総額を上回る見込み。 報告書は「中国が債務回収の役割に転じる一方、西側諸国の政府は依然として国内問題に注力しており、援助も多国間支援も減少している」と言及。開発の停滞と不安定化のリスクを警告した。

中国の対外融資については「債務のわな」が西側諸国で取り沙汰されてきた。これは2国間の融資で国際援助を受けた国が債権国から政策や外交などで圧力を受ける事態を指す。債務の返済に行き詰まった国が債権国に対して融資を受けて建設したインフラの権益を渡したり、軍事的な協力をしたりするケースがある。初めから債務の返済能力に乏しいことを分かっていながら意図的に貸し付けを増やすケースもあるとされている。

インド洋のスリランカのほぼ南端に位置するハンバントタ港は同国が中国からの借金で整備したものの返済が滞り、運営権を中国に事実上譲渡した。「債務のわな」の典型例といわれる。同港の管理会社は中国企業とスリランカ港湾局の合弁だが、管理会社は主要な管理職を中国人が占め、監視カメラや無人機(ドローン)を駆使するなどして港の警戒に当たっているという。

中国企業が権益を持つ港湾をめぐってはアルバニージー豪首相が北部ダーウィン港の賃借契約を見直す方針を打ち出し波紋が広がっている。同港は中国企業「嵐橋集団」が15年に北部準州と約5億豪ドル(約460億円)で99年間賃借する契約を結んだ。同社は中国政府と深い関係にあり、同港は戦略的な要衝であるため安全保障上の問題が豪州内で懸念されてきた。

これに対し、中国外交部の毛寧報道官は5月27日の記者会見で、嵐橋集団はあくまで市場を通じて契約を結んでおり、「合法的な権益は十分に保護されるべきだ」と発言。アルバニージー政権が中国企業を不当に扱わないようクギを刺した。(編集/日向)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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