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かつてSFの中で描かれる未来像にすぎなかった無人交通、無人物流の社会実装が急速に進展してきた。
かつてSFの中で描かれる未来像にすぎなかった無人交通、無人物流の社会実装が急速に進展してきた。ドローン、無人トラック、無人船――技術革新は陸・海・空すべての領域に広がり、政策支援と企業投資の後押しの下で新たな交通・物流インフラが着々と形を成しつつある。
陸上分野では、無人運転の社会実装が着実に進んでいる。広州市ではレベル4の自動運転バスがすでに100万人を超える乗客を運び、都市交通の一部として定着しつつある。北京市ではWeRide(文遠知行)が完全無人のロボタクシーの有料運行を行い、武漢では24年の時点で1000台規模の自動運転タクシーが市域の大半で稼働していた。
こうした「人を運ぶ」領域での無人化が現実になっている以上、物流分野への波及は当然の流れだ。京東物流やZTO快遞が運用する自動運転トラックは、高速道路を夜間も走行し、止まらない中国経済を足元から支えている。走行音も控えめで、眠る都市に静かに寄り添う「無人の脚」として新たな物流インフラを形作っている。
陸上だけではない。海上でも無人物流は確実に拡大している。広西チワン族自治区の北部湾(トンキン湾)に浮かぶ涠洲島では無人小型艇4隻が物資搬送や巡回、緊急警備任務を担っている。人手や燃料補給を必要としないため、年間1000万元(約2億円)近いコスト削減効果があると試算されている。
また、広東省珠海市ではドローンと無人艇を組み合わせた複合補給ルートの実証が進行中。深セン港では港湾内を自律航行する電動無人艇の導入が始まり、沿岸都市では無人物流がそれこそニューノーマルとなりつつある。
空中領域では「低空経済」といわれる概念が定着してきた。広東省では順豊エクスプレスがドローンを運用し、海南島で捕れた鮮魚や果物を効率的に輸送している。従来の陸送やフェリーの利用に比べて所要時間は約半分に短縮され、都市間の時間距離はもはやアルゴリズム次第という時代に入った。
深セン市では26年までに1200カ所を超えるドローン起降点、すなわち「空の駅」の整備が計画されており、都市空間における第三の交通層として空域のインフラ化が進んでいる。四川省では2トン級の大型無人貨物機が山岳地帯を越えて飛行に成功し、成都市内では低空専用の交通管制システムの構築も始まっている。
こうした陸・海・空をまたぐ無人物流インフラの整備に向けて、中国では官民一体の取り組みが加速している。国レベルでは、民航局が全国に無人航空機の試験区を設け、交通運輸部が自動運転車の公道運行に関するガイドラインを整備。北京市、深セン市、広州市、成都市などでは無人運転や低空交通に関する条例が次々と制定されている。
民間では、百度、ポニー・エーアイ(小馬智行)、WeRide、雲洲智能、騰盾科技といった新旧のプレーヤーが数百億元規模の資金を投じて開発、実証、商用化を同時に進行中だ。もはや無人物流は未来の絵空事ではなく、目の前にある日常インフラとして静かに根を張り始めている。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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