中国の4月の主要経済指標が先ごろ発表された。今年の経済情勢を語る際、各方面が期せずして異口同音に「中国経済は圧力に耐え抜いた」と述べている点が注目される。

国家統計局の付凌暉（フー・リンフイ）報道官は、4月は外部からの衝撃が強まり、国内でも困難や課題が重なるという複雑な状況の中で、「国民経済は圧力に耐え抜き、安定的に成長した」と述べた。国家発展改革委員会の李超（リー・チャオ）報道官も、厳しく複雑な外部環境に直面する中、「消費と投資は安定的に成長し、輸出は巨大な外圧に耐え抜いて成長を維持した」と指摘し、中国経済の運営は「圧力に対する強い耐性と内生的原動力を示した」と語った。

「圧力」があるということ自体はよくあることだ。だが、これほどまでに「圧力に耐え抜いた」と強調されるのは、よくあることではない。

圧力は中国経済の「強靭性」を検証するテストだと言えるだろう。

巨大な圧力はまず外部からやってきた。この4カ月間、国際環境には誰の目にも明らかな急激な変化が見られた。多くのアナリストは、3月から4月にかけて米中貿易が受けた大きな打撃の影響が経済指標に表れると予測していた。しかし実際には、中国の物品貿易は依然として成長を維持し、4月には前年同期比5．6％増、1～4月でも前年同期比2．4％増となった。

安定した貿易を維持することはそう容易なことではない。では、それを可能にしたものは何か。

第1に多様化。対米貿易が減少する一方で、ASEAN、韓国、日本、中央アジア5カ国への輸出は急増し、「一帯一路」共同建設国との貿易も加速した。ある市場が不調でも、他の市場で補うことができた。

第2に突然の変化への迅速な対応能力。特に民間の貿易企業は、データ面で見て成長が加速している上に、その成長過程においても突然の変化への対応がすでに常態化している。サプライチェーンに変動が生じた際には調整力が試される。過去数10年間にわたり困難を幾度も経験したことで、中国の貿易企業は突然の変化への対応における「ベテラン」となっていたのだ。

第3に強固な基盤。中国は産業システムが整っており、グローバルなサプライチェーンにおいて重要な地位を占めている。可変的要素の大きい外部からの衝撃に対しても、調整の余地が大きく、圧力に耐える強靭性に優れている。「バラスト」がしっかりとしている船は、大波の中でも安定しているのだ。

中国経済における「外」と「内」は従来から弁証法的に統一されている。4月25日の中央政治局会議では、「国内の経済政策と国際的な経済・貿易闘争の統一的計画」という重要な指示が出された。対外貿易が圧力に耐え抜いて安定を保てたのは、対「外」的努力のみによるものではなく、根本的には「内」なる力によるところが大きい。

国内需要の不足も一種の「圧力」だ。この圧力は内需拡大の原動力へと転化されつつある。さまざまな努力の中でも、特筆すべきは「両重」建設（国家重要戦略の実施と重点分野の安全能力構築）と「両新」政策（大規模設備の更新と消費財の買い替え促進政策）だ。前者は重要戦略と重点分野という「重」に焦点を当て、後者は設備更新と新しいものへの買い替えという「新」に焦点を当てている。

国家重要戦略の実施と重点分野の安全能力構築を進める「両重」政策は24年春に始まった。「両重」が焦点を合わせているのは、発展のために差し迫って必要であり、通常の手段では解決できず、長年取り組みたくても実現できなかった、中央政府レベルでの推進を必要とする重要事項だ。24年は7000億元（約14兆円）の超長期特別国債が1465件の「両重」プロジェクトを支え、今年は4カ月余りですでに5000億元（約10兆円）近くの資金が拠出された。

資金が投じられ、プロジェクトが実施されることで、「内需拡大、安定成長、民生重視」という効果がすでにはっきりと現れている。長江流域の交通インフラ、農業転移人口（農業をやめて都市部に出た人）の市民化、高水準農地の建設、都市地下管網、「三北（西北・華北・東北）」プロジェクトなどは、国家の意志を体現すると同時に、国民生活の幸福度も高める。一つ一つ着実に実施されてきたこれらのプロジェクトには、外的圧力に耐え抜いて「揺るぐことなく自国の事を成し遂げる」という姿勢が体現されている。

大規模設備の更新と消費財の買い替え促進を行う「両新」政策は、今年もその規模と範囲を拡大し、消費の活力を呼び起こすとともに、投資の増加もけん引している。多くの消費者が実際に買い替えを行っており、「労働節（メーデー、5月1日）」に合わせた5連休終了時点で、全国の自動車買い替え補助申請は300万件を突破し、12種類の家電製品の買い替え販売数は5500万台に達し、スマートフォンなどのデジタル製品は4100万台販売され、延べ1億2000万人の消費者が買い替え補助の恩恵を受けた。「延べ1億2000万人」という数字は、内需拡大の観点から言うと相当すごい規模だ。

中国経済はまるで強靭なバネのようだ。圧力が大きいほど、それを跳ね返す力も強くなる。今年に入って以降、新たな質の生産力の育成・発展と関連する各種経済指標はおおむね好調に推移している。この強靭性が、中国経済が引き続き圧力に耐え抜き、厳しい外部環境の中で常に自国の事を着実に成し遂げるために、新たな原動力を供給し続けてきたのだ。（提供/人民網日本語版・編集/NA）