【観察眼】ハーバードで留学生締め出し、巨大な米国は「小さな机さえ置けない」のか

CRI online    2025年5月27日(火) 9時50分

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米国政府はハーバード大学に対し、外国人留学生の新規受け入れを禁じ、在籍中の留学生にも転校を命じると発表した。

1933年、アインシュタインがナチスの迫害を逃れて米国の地に渡った。彼は、米国の「政治的自由と寛容」が自らの科学研究の避難所となってくれたことに感謝した。しかし、90年後の今、ハーバード大学の合格通知書を受け取ったある留学生は、同時に米国政府からの「ビザ拒否通知」を手にすることになった。5月22日、米国政府はハーバード大学に対し、外国人留学生の新規受け入れを禁じ、在籍中の留学生にも転校を命じると発表した。歴史の残酷な悪ふざけなのだろうか。かつての「知の避難所」は、いまや「学問の閉鎖空間」に変貌してしまったのだ。

米政府による今回の決定は、表面的にはハーバード大学の「頻繁な連邦法違反」に対する処罰のように見える。しかし、その背景にある動機を掘り下れば、これが米政府の行政権力の濫用、教育覇権の推進、学問の自由の破壊の一つの表れにすぎないことが明らかになる。

近年、米国のポピュリスト政治家たちは「外国浸透」の脅威を絶えず煽り立て、留学生に「技術スパイ」の汚名を着せている。2023年のイスラエルパレスチナ紛争で大学生による抗議活動が発生して以来、米国の政治家は大学を「左翼思想の温床」と見なし、「国家安全保障」「反ユダヤ主義」を口実に大学への政治的介入を行ってきた。ハーバード大学への22億ドルの連邦補助金の凍結から、免税資格取り消しの検討、そして今回の留学生の締め出しまで、トランプ政権は徐々に圧力を強め、資金と資格を武器に、大学に「忠誠」と「独立」の選択を迫ろうとしている。このような教育を政治化するやり方は、「学問の独立」という基本原則に甚だしく違反するものであり、教育の本質を歪曲している。

この政策がもたらす衝撃は壊滅的だ。経済面から見れば、留学生はハーバード大学をはじめとする米国の大学にとって重要な収入源となっている。統計によると、昨年1年間だけで、留学生は約440億ドルの経済効果を生み出し、約37万8000人分の雇用を創出し、米国社会を支えている。国際的影響力の面から見ても、この措置は米国の高等教育の世界的な評判を深刻に損なうことになるだろう。ハーバードなどの大学の多様性に富んだ教育環境は萎縮し、米国が誇る「世界の学術灯台」としての地位も大きな打撃を受ける。在学中のベルギーのエリザベート王女もまた、ハーバード大学での学業中断を余儀なくされるかもしれない。日本の芸能界で活躍するハーバード大学卒業生のパトリック・ハーラン氏(通称パックン)は、「前代未聞。本当にひどい措置だ」とコメントした。将来の留学生は米国留学の政治的リスクを考慮せざるを得なくなるだろう。英科学誌ネイチャーの調査によると、世界トップクラスの科学者の75%が米国を離れることを検討しているという。

米国政府のこの決定は、世界の学術交流と協力に計り知れない損失をもたらすことになる。留学生は世界的な学術交流の重要な懸け橋であり、彼らの移動は知識の伝播と共有を促進するだけでなく、異なる文化間の理解と融合を促進する。しかし、米政府は今回の措置によって、留学生を政治的駆け引きの駒として、政治闘争の犠牲にした。これは留学生が質の高い教育を受ける権利を奪うだけでなく、世界の学術交流環境を破壊するものだ。このままでは、世界の学術ネットワークは分断され、人類文明の進歩と発展には暗雲が立ち込めるだろう。

教育は本来、国境を越えた文明の絆であるべきであり、地政学的ゲームの駒となってはならない。米国が意図的に「学問の鉄のカーテン」を築き、「小さな机さえ置けぬ国」となるならば、ソフトパワーの崩壊は時間の問題だ。米国の政治家は、明確に認識しなければならない。真の安全と繁栄は、開放的で包容力のある環境下での協同革新と共同発展から生まれるものであり、排除や独善からは何も生まれないのだ。ハーバード大学の校訓「Veritas(真理)」が示すように、知識に国境はなく、開放的な協力こそが人類の前途を明るくすることができるのである。(提供/CRI

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