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世界的な幸福度調査で日本の「大人の幸福力」が苦戦を強いられている。
世界的な幸福度調査で日本の「大人の幸福力」が苦戦を強いられている。一方で、子どもの幸福度には明るい兆しが見え始めた。精神面での課題は残るものの、地域レベルでは幸せを育む土壌が各地に息づいている。
国連の関連機関「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が発表した「世界幸福度報告2025(World Happiness Report)」によると、日本の総合順位は55位にとどまり、G7の中で最下位だった。調査は人生の満足度や社会的支援の有無、人生の自由度といった指標を総合的に評価しており、日本では「つながりの薄さ」が特に指摘されている。
さらに、ハーバード大学やベイラー大学などが実施した「グローバル・フローリッシング調査(Global Flourishing Study)」でも、日本は22カ国中で最下位という結果だった。
調査は幸福度や健康、経済的安定、人間関係、人生の意味、性格的強みなど多面的な項目から「人間の繁栄(flourishing)」を測定しており、特に18~24歳の若年層におけるスコアが著しく低かった。
そんな中で、ユニセフ(国連児童基金)のイノチェンティ研究所が5月に発表した報告書「Report Card 19」は、日本にとって希望の光となったきらいがある。日本の子どもの幸福度は36カ国中14位と、2020年の前回調査(38カ国中20位)から大きく順位を上げた。
特に身体的健康(低い乳幼児死亡率など)では引き続き1位を維持しており、加えて学力や社会的スキルの面でも高い評価を受けた。一方で、精神的幸福度は32位と低迷しており、15~19歳の自殺率の高さが依然として大きな課題となっている。
日本国内の地域に目を向けると、生活満足度の高さが地域性と深く関係していることが見えてくる。ブランド総合研究所による「幸福度調査2024」では、都道府県別ランキングで沖縄県が1位となり、大分県、宮崎県、熊本県など九州地方が上位に名を連ねた。気候の穏やかさや自然環境の豊かさ、地縁的なつながりの強さが幸福感の源泉とみられている。
一方、大東建託が発表した「いい部屋ネット 街の幸福度ランキング2024」では、自治体単位での主観的幸福度が評価された。調査は20歳以上の全国居住者による10段階自己評価に基づいており、1位は北海道の東神楽町、2位は長野県の原村、3位は同じく北海道の東川町となっている。
いずれも温暖な気候とは縁遠い地域がトップ3だが、それでも自然環境に恵まれ、地域の治安や利便性、住民同士の距離感がバランスよく保たれている場所という点で共通点がありそうだ。幸福とは、個人の内面に根ざすものであると同時に、住環境や社会関係の質にも大きく左右されるのだろう。
「幸福」とはとかく主観的なものであり、経済指標や1人当たりGDPだけでは語れない面がある。そのため、分かち合いやつながり、意味を実感できる環境の重要性にますます注目が集まる。
日本は「失われた30年」を経たこともあり、かつてスローガンに掲げた「生活大国」に向けた道のりは険しいものとなっている。それでも子どもの幸福度の順位が上昇したのは曙光であり、今後も改善の兆しを期待したいところだ。(提供/邦人NAVI-WeChat公式アカウント・編集/耕雲)
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