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中国の日系企業の関連企業増加数1位はペット・育児プラットフォーム展開のワンドットだった。資料写真。
法人会員向けに与信管理クラウドサービスを提供するリスクモンスターの連結子会社である利墨(上海)商務信息咨詢(リスクモンスターチャイナ)は利墨リスモン調べ「第2回中国日系企業の関連企業数」調査結果を発表した。
「利墨リスモン調べ」はリスクモンスターチャイナが独自に収集した中国の日系企業データベースや業界情報を基に調査・分析を行ったレポートで、今回は3月時点で開示されていた中国全土の法人登記情報を基に、日本企業が出資する中国企業およびグループ企業2万6652社を対象に調査した。
前回調査(23年11月「第1回中国日系企業の関連企業数」調査)から約1年半が経過し、中国国内における不動産業の不振や新エネルギー車(EV)の台頭、米国による対中制裁などを背景に、中国市場の経済環境が大きく変化したことを受けている。
調査の結果、日系企業の総数は2万6955社となり、前回調査の2万7968社から減少傾向が見られた。また、中国の日系企業とひも付いた日本親会社数は9744社で、前回の1万568社から824社減少した。この減少分は、実質的に中国から撤退した日本親会社数に相当し、全体の7.8%を占めた。
しかし、関連企業を持つ日本親会社のうち、前回より関連企業数が増加した企業は805社、減少したのは680社となっており、関連企業数を増やしている企業が多いことが分かる。
一方で、全体の14.3%に当たる日系企業では関連企業数の減少または撤退が進んでおり、中国経済が転換期を迎える中、日系企業の間で「事業規模の維持・拡大をする企業」と「縮小・撤退に向かう企業」の二極化が徐々に進行しているといえる。
関連企業数ランキングにおけるトップ10の企業に大きな変化はなかったものの、細かな順位の変動が見られた。(表1)
1位はコンビニエンスストアを展開する「ローソン」(636社)がキープしており、販売網を強化している「日産自動車」(389社)が前回より順位を一つ繰り上げて2位につけた。「すき家」や「はま寿司」などを展開する「ゼンショー」(341社)が着実な出店戦略により3位に浮上した。
一方、前回2位だった「ファミリーマート」は24年初めに中国事業の再編を実施し、華東エリア以外のコンビニ事業をパートナー企業の「頂新グループ」に売却した影響で、関連企業数が減少し、4位に後退した。
業種別に見ると、小売業や飲食業といったサービス業が上位を占めており、日系サービス業が中国消費市場で依然として高い支持を集めていることがうかがえる。ただし、コンビニ3社(「ローソン」「ファミリーマート」「セブン-イレブン」)では直営店からフランチャイズやエリアライセンス方式への転換が進んでおり、関連企業数はそれぞれ減少傾向にある。
飲食チェーンの「ゼンショー」(341社)、「サイゼリヤ」(267社)は「手頃な価格で高品質なメニュー」が消費者に支持され、新規出店数が閉店数を上回る形で、関連企業数の増加につながった。
一方で、「ユニクロ」「GU」「Theory」などを展開する「ファーストリテイリング」は、中国における戦略を「店舗数拡張」から「既存店舗の効率化」への見直しにより、関連企業数は前回比で7社減少し、乳飲料メーカー「ヤクルト」も市場シェアの低下などを背景に関連企業数が減少している。
前回調査と比較した関連企業数の増加数ランキング(表2)では、ペット・育児プラットフォームを展開する「ワンドット」(+99社)が1位となった。中国各地にペット用品配送拠点を新設し、事業を急拡大させている。3位の家具量販店「ニトリ」(+45社)も年間20店舗以上の新規出店を通じ、市場での存在感を着実に高めている。
業種別で関連企業数の増加が特に顕著なのはサービス業で、ファッション業界からは2社がランクインした。6位のデサントはスポーツブランド「ルコックスポルティフ」の中国販売会社を22年に子会社化し、中国市場での事業拡大を狙い、拠点の新設を進めている。7位の「マッシュスタイルラボ」は、中国で「SNIDEL」や「LILY BROWN」など婦人服ブランドを運営し、店舗展開を加速させている。
今回の調査から、日系企業全体としては安定傾向が見られる一方、業種や企業によって経営戦略が多様化していることが明らかになった。特に、飲食業・衣料関連など内需型のサービス業では事業拡大の傾向が顕著な企業がある一方、事業縮小や撤退に踏み切る企業もあり、企業ごとの対応方針がより鮮明になっている。
中国は依然として世界有数のマーケットであり、今後もその変化に柔軟に対応する経営戦略が求められる。中国企業と取引する上で、対象企業の財務状況や経営状況に加え、関連企業数の増減やその動向、重大なリスク要因がないか確認することは、リスクマネジメントの視点から重要な判断材料となる。
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