中国メディアの青島日報は14日、大量の現金が地中に埋められるという奇妙な出来事が中国各地で発生していると報じた。

記事によると、上海市静安区の警察関係者は12日、「架空の注文とサクラレビュー」を使った従来型のやり方に資金洗浄の新たな手口を組み合わせた特殊詐欺の容疑者を拘束したことを明らかにした。その新たな手口というのが「被害者に現金を土の中に埋めさせる」というもので、同様の事件は最近、中国各地で起きている。

前述の静安区の事件では、方さんという女性が10万元（約200万円）余りに上る被害に遭った。本人の説明によると、方さんは4月3日、求人情報プラットフォームに自身のプロフィールを投稿。すると、すぐに「ネット会社の人事」を名乗る人物から連絡があり、相手は「リスクなしの『架空注文とサクラレビュー』のアルバイト」を持ちかけてきた。

この話に応じて指示されたリンクからあるアプリをダウンロードした方さんに相手はまず、少額の注文作業を手配し、すぐにリベートが支払われたため方さんは徐々に警戒を緩めていった。だが、方さんがその後、現金化を希望すると、相手は「システムエラーでアカウントが凍結された。解除には『中級の任務』を10回以上連続で行う必要がある」と説明。さらに方さんの資金が底をついた頃に相手側はいっそうエスカレートし、映画の興行収入に絡む分配金話を持ち出すと共に「プラットフォームによる監視を防ぐため」として現金を密封して埋めるよう要求した。方さんは元金を取り戻そうと4月16日に2カ所に現金数万元（1万元は約20万円）を埋めたが、再び現金を要求されたため19日に警察に通報して助けを求めた。

記事によると、現金を取りに来た容疑者は待ち伏せしていた警察官に拘束されたが、その過程で土の中に埋めるために12万元（約240万円）もの現金を携帯した別の特殊詐欺事件の被害者も現れたという。（翻訳・編集/野谷）