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中国で話題を呼んだ舞台「ミックスサラダ」が日本で初の海外公演を行う。会場は東京・江戸川区総合文化センターで、7月2、3日の2日間上演される。
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中国で話題を呼んだ舞台「ミックスサラダ」が日本で初の海外公演を行う。会場は東京・江戸川区総合文化センターで、7月2、3日の2日間上演される。
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2021年に北京の小さな劇場でまったくの無名で宣伝もほとんどない舞台作品が静かに幕を開けた。タイトルは「雑拌、折羅あるいはサラダ(邦題は「ミックスサラダ」)」。大規模な制作でもなく、有名俳優の出演がないにもかかわらず、上演されるや否や観客の熱狂的な反応を呼び、10公演すべてが完売し、北京小劇場界のダークホースとして注目を集めた。
その後、第8回烏鎮演劇祭の招待作品に選ばれ、本格的に注目を集め、「新京報・最芸術」の年間ベスト10演劇に選出されるなど、各方面で高い評価を獲得。口コミでの人気はさらに高まった。
22年には上海国際コメディーフェスティバルに登場し、全国ツアーも敢行。訪れた都市すべてで満席となり、熱い反響を呼んだ。24年には大劇場公演として5都市・全16公演を行い、累計1万7000人以上の観客を動員した。中国のレビューサイト豆瓣とチケットプラットフォーム大麦では共に9点以上の高評価を獲得し、SNS・微博(ウェイボー)の関連トピック閲覧数は3000万回を突破した。
演出の張慧(チャン・ホイ)監督は若年層の観客から大きな支持を集め、主演のジアン・チーミン(蒋奇明)は第5回華語演劇アワードで最優秀助演男優賞、壹演劇大賞で年間最優秀男優賞を受賞した。
本作は「滸墅関(フーシュグアン)」「アーチー」「あるパントマイム劇」という三つの短編で構成されており、いずれも新型コロナの時期に張監督が構想し、脚本を手がけたオリジナル作品だ。
形式や演出のスタイルは3編それぞれ異なるが、いずれも「混ぜ合わせ」の感覚を持ち、まるで「サラダ」のように多様な要素が共存する現代社会を象徴している。観客からは「これは一つの時代を映す記憶装置のような舞台。誰もが自身や社会、他者を見つめ直すきっかけになる」といった感想が寄せられた。
現代演劇は難解で前衛的というイメージを持たれがちだが、本作は働くことの意味や情報社会における孤独とつながり、生き方の選択といった日常に根差したテーマを描いており、多くの観客にとって共感しやすい内容となっている。
広西チワン族出身のジアン・チーミンは映像作品でも頭角を現しており、映画「宇宙探索編集部」や日本でも話題となったドラマ「ロング・シーズン 長く遠い殺人」のほか、ドラマ「辺水往事」「私のアルタイ」などでの演技が注目され、今最も期待される90年代生まれの俳優の一人だ。
ジアン・チーミンが演じてきたのは普通の人たち。にもかかわらず、その一人一人が心に残るのは、「生活を観察する」ことを俳優としての基本にしているからだ。20年にコロナ禍で劇場が閉鎖された際にはローソンでアルバイトして人々の動きを観察したり、「ロング・シーズン」の聴覚障害者の役のために手話を学ぶなど、実直な姿勢が演技に説得力を持たせている。
「ミックスサラダ」では、第2幕「アーチー」と第3幕「あるパントマイム劇」でまったく異なる人物を演じ分ける。
中でも「アーチー」は中国のネット上で話題となった実在の人物に着想を得た作品で、「働くなんて絶対に無理だ」という強烈なせりふで知られ、盗みを働きながらも「働かない生き方」を独自の言葉で語り、資本主義的な労働観への根源的な疑問を投げかけている。
ジアン・チーミンはこの現実と虚構の間に立つ人物を広西方言による独白と彩調劇(中国南部の民間歌劇)を取り入れたユニークな演出で体現した。喜劇のように始まりながら、次第に笑えなくなるような現実の重みがにじみ出てくる。
単なる「風変わりな人物」で終わらせず、観客に笑いと違和感、そして深い余韻を残した。観劇した映画監督で俳優のチェン・スーチェン(陳思誠)は「本当に良い俳優を見つけた」と称賛した。
中国の現代演劇が海外で上演される機会は多くない。本作のような完全オリジナル作品が海外の劇場で紹介されるのは数少ない貴重な試みだ。
東京公演では、翻訳家の関口美幸氏による日本語訳に加え、全編に日本語字幕を表示。言葉の壁を越えて、日本の観客もストレスなく物語に入り込める構成となっている。
中国発・話題のオリジナル舞台
— 華流 (@_hualiu_) May 13, 2025
『ミックスサラダ』東京公演決定! pic.twitter.com/TR5byqgBPi
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