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中国メディアの新京報は、赤ちゃん用のハイヒール靴(写真)がネット販売されている状況を、厳しく批判する論説を発表した。
中国メディアの新京報は9日付で、あかちゃんを対象にしたハイヒール靴がネット販売されていることを厳しく批判する論説を発表した。一部のネットユーザーからは「まるで纏足(てんそく)用の靴」といった批判も出ているという。
新京報によると、「赤ちゃん用ハイヒール」を販売しているネットショップは、商品を「1歳の赤ちゃんの人生初のハイヒール」などと宣伝している。ネットユーザーからは、この靴が「三寸金蓮」に似ているとして、歪んだ美意識との批判が集まった。
「三寸金蓮」とは、「成功した纏足」あるいはそのような纏足を施された女性が履く靴を指す。「三寸」とは足の大きさが約10センチ程度であり、そのような女性の足は「金の蓮のようにすばらしい」ということを意味する。纏足が始まった時期は明らかではいが、今から1000年ほど前には普及していったとされる。清朝(1644-1911年)は何度か禁止令を出したが、効果はなかった。
清末から中華民国にかけては近代化にそぐわないとして反対運動が盛んになったが、纏足がなくなることはなかった。纏足の風習が完全にすたれたのは中華人民共和国成立後で、「反革命行為」として厳しく批判されたからだった。中国では現在、学校で纏足について「反省すべき負の文化」などと教えられており、纏足は「女性弾圧」「人権侵害」が長く続いた中国にとっての「黒歴史」とする認識が一般的だ。「三寸金蓮」に似ているとする批判は、「赤ちゃん用ハイヒール」に対する強い嫌悪感を示すものと理解できる
「赤ちゃん用ハイヒール」について「本当に履くためのものではなく、装飾用です」と説明したネットショップもあるという。しかし新京報はこの説明について「一見もっともらしく聞こえる。しかしよく考えると、このような説明にはまったく道理がないことが分かる。どのような場面であっても、『ハイヒール』と『赤ちゃん』という本来結びつかない2つの言葉を無理やり結びつけること自体に、大きな違和感がある」と批判した。
新京報は「この『三寸金蓮』に似た『赤ちゃん用ハイヒール』は本質的に歪んだ美意識の産物だ」と批判。さらにこのような靴を販売する動機について「独自性や物珍しさを追求し、消費者の目を引くためだろう」と論じた。
新京報はさらに、「販売側は、特に乳幼児に関わる製品の設計や販売では、子どもの立場を考えねばならないと、はっきり認識すべきだ」「単に目新しさを求めるのではなく、明らかに乳幼児の成長段階にそぐわない商品は受け入れるべきでなく、近視眼的な商行為は排除せねばならない」と論じた。
中国では、「子どもに大人の価値観を押し付けた」として、商品に対する批判の声が出ることがある。例えば2021年ごろから、「ミルキー・ホットスパイシー(奶辣風、ナイラーフォン)と呼ばれる主に幼い女児向けの「ファッション」が問題視された。「辣」とは、特に女性についての「セクシーさ」を意味する俗語だ。つまり「奶辣風」とは「乳離れしない女児向けの、セクシーさを強調するファッション」だ。
新京報はさらに、「赤ちゃんや幼児の世界はとてもシンプルで、健康に成長できればそれでよい。歪んだり複雑だったりする美的志向の商品を子どもの世界に持ち込む必要はない」と指摘。さらに「この点については、業者が出荷段階から厳しく管理すべきなのはもちろんだが、保護者もまた『自分の好奇心』を抑えるべきだ。自分では『面白い』と思っても、赤ちゃんの成長には適さないようなものを無理やり子どもに与えるべきではない」と論じた。
新京報はまた、業者にネット販売の場を提供するプラットフォームの責任にも言及し、「赤ちゃんや幼児向け商品の登録基準を引き上げることで、より良く赤ちゃんや幼児の健全な成長を守っていくべきだ」と主張した。(翻訳・編集/如月隼人)
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