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中国の電子商取引大手が「返品不要の返金」制度の廃止を発表した。ユニクロも5月からオンライン注文商品について店舗返品の受付を撤廃するという。写真は南京市内のユニクロ。
中国の電子商取引界隈に大きな波が走った。タオバオ(淘宝)、拼多多(ピンドゥオドゥオ)、京東、抖音、快手の中国EC界の5巨頭とも言うべきプラットフォームが「返品不要の返金」制度の廃止を発表したからだ。これに足並みをそろえるかのようにユニクロも5月からオンライン注文商品について店舗返品の受付を撤廃するという。
消費者が商品を手元に置いたまま、返金を得る──そんな「返品いらずの返金」は、もともとは配送された商品が破損していたり、明らかに売り手の説明と異なっていたりした場合に消費者の権益を保護する措置として導入された制度だった。
しかし、この制度は次第に悪用や乱用が目立つようになった。特に低単価商品の分野では、商品を受け取った上で返金を要求する「二重取り」や「申請代行」といったグレーな行為が横行した。2024年の「ダブルイレブン」期間中、この手の苦情は多く、売り手の苦情全体の6割を占めたとの報道もある。
こうした事態を受けて、タオバオや拼多多、抖音などが「返品いらずの返金」の自動承認を停止すると発表。今後、消費者による「返品いらずの返金」のリクエストに対して、プラットフォームは介入せず、買い手と売り手の協議に委ねる方針へと切り替える。
拼多多は申請から36時間以内の対応を義務付けたが、具体的な処理方法の判断は売り手側に一任される。抖音も同様に「売り手側の裁量」と明記し、従来の自動返金措置は廃止される見通しだ。
南方都市報などによると、EC業界の動きに同調するようにユニクロも返品制度の見直しに踏み切った。これまで消費者がユニクロ天猫(Tモール)旗艦店で購入した商品は全国のどの店舗でも返品が可能だったが、5月1日以降はその制度が撤廃される。
今後は返品申請をオンラインで行い、指定の住所へ自己負担での郵送が必須となる。また、店舗受け取りによる注文についても、返品は受け取り店舗に限定され、利便性の後退に対する不満の声も見られている。
とはいえ、これまで過剰なサービスが売り手側の負担と損失リスクを拡大し、市場の健全性を揺るがす状況が続いてきた。業界全体が「次の秩序」を目指して再編に動くのは時間の問題だったともいえる。
中国国家市場監督総局は今年の两会で返品制度の乱用を問題視し、「売り手に不公平な負担を課している」と指摘。これを受け、プラットフォームは消費者寄りの姿勢から中立的な調停者への転換を図ってきた経緯がある。
この一連の流れは、日本企業にとっても重要な示唆を含んでいる。中国市場における返品・アフターサービス制度の変更に対応するには、柔軟なルール設計とスタッフ教育が欠かせない。
今後は「過剰な好意」に頼る商習慣が是正される方向にあり、売り手としての説明責任と交渉力がより一層求められる時代へと移行していくことが予想される。(提供/邦人NAVI微信公衆号<WeChat公式アカウント>)
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