中国の英語教科書に変化、自国の文化などを紹介する内容が増加―中国メディア

Record China    2025年4月28日(月) 19時0分

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中国では小学校から中学校、高校に至るまでの英語教科書に、文化関連など自国についてを紹介する内容が増えている(写真参照)。

中国メディアの中国新聞社はこのほど、小学校、初級中学校(日本の中学校に相当)、高級中学校(日本の高校に相当)で使われる英語の教科書の内容が変化していると紹介する記事を発表した。各種の中国文化や古代から共産党による革命に至るまでの中国史を紹介する内容が増えているという。

中国では小中学校の「道徳と法治」、高校の「思想政治」などの一部科目を除き、出版社が編集した教科書の内容を国が承認すれば、学校教育用に使うことができる。日本の制度と似ているが、国による管理色は日本より強いとされる。

最近になり一部のネットユーザーが、英語の教科書に「中国の要素」を扱う内容が多いことに注目して話題になった。紹介されている文化の例としては、北京の伝統的住宅である四合院、春節(旧正月)、旧暦5月5日の端午節、中国の家族概念の紹介、満1歳になった子の前に書籍やはかり、そろばん、筆、土くれなどを並べて、最初に何をつかむかでその子の将来を占う「抓周」の風習などがある。

中央政府教育部の基礎教育外国語教学指導委員会の副主任も務める四川省教育学院の董洪丹副院長は、同学院は英語の教科書を編集する際に、中国文化の要素を率先して充実させてきたと説明した。文章だけでなく、挿絵についても伝統的な切り絵や水墨画などを増やしたという。

董副院長によると、同学院が2018年に編集し、外語教学与研究出版社(外国語教育と研究出版社)から出版された英語教科書では、小学校用の場合、内容の45%が中国文化関連で、中学校の教科書では30%が、高校の教科書では31%が中国文化関連だった。董副院長は、「『外国語で中国の物語をうまく伝える』ことでは、四川が先駆けです。四川省は国内で最初に全域の生徒を対象に『英語で中国の物語をうまく伝える』という活動を開始し、その後は『外国語で中国の物語をうまく伝える』に拡大し、目覚ましい成果を上げました。教育部基礎教育外国語教学指導委員会からは『優れた典型事例』として評価されました」と説明した。

英語教科書で中国関連の内容が増えたことは、中国共産党と国の方針に基づくものだ。19年に共産党中央と中央政府が発表した「新時代における愛国主義教育実施綱要」には、愛国主義教育を学校教育の全過程に組み込み、愛国主義教育を「教材に、授業に、そして心に進めること」が明記された。20年の「普通高校英語課程基準」と22年の「義務教育英語課程基準」では、生徒の国に対する感情と中国文化に対する自信を育成する必要があることが学科のレベルで明確に示され、英語教育には中国文化の理解と継承の使命を担うことが求められた。23年に施行された「愛国主義教育法」は、愛国主義教育をすべての学科と教材に統合することを定め、中国の優れた伝統文化の継承と発展の重要性が説かれた。

教育部の教材審査委員会で役職を務めた経験があり、小学校から高校までの英語教材の主任編集者を務めた経験もある劉道義氏は、「今日の中国が育成しなければならない人材は、中国文化に精通するだけでなく、世界の文化にも通じていなければなりません。中国の特徴と世界的な水準を併せ持つ現代教育を発展させるためには、外国語を普及させ、外国語教育の質を高める努力が必要です」と述べた。

中国の教科書で改めて重視されているのは、中国文化だけでない。劉氏は、「世界の有名な自然の驚異を紹介することで、生徒は自然の神秘的で壮麗な美しさを認識し、さまざまな国の文学、芸術、音楽作品を紹介することで、美の探求と考察を促します」と、世界を視野に入れた教科書編集が必要と述べた上で、中国については最近の「農村振興、砂漠化防止、対外援助といった典型的な事例や成果を紹介することで、生徒は進んだ模範を学び、精神的な力を汲み取って、積極的に前進します」と述べた。

中国新聞社記事は、「この静かに深く広がる教育改革は、『世界における競争力』の土台を再定義するかもしれない。文化の根をしっかりと据えた者だけが、自信を持って世界の舞台を飛び回ることができる」と論じた。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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