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2日、東京証券市場で株価が暴落した。前日の米市場で欧州景気に対する不透明感から株式相場が下落した流れを受けたものだが、日本景気の全般的な失速が背景となっている。写真は証券会社の株価表示板を不安げに見つめる投資家たち(9月2日正午)。
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2014年10月2日、東京証券市場で株価が急落した。前日の米市場で欧州景気に対する不透明感から株式相場が下落した流れを受けたものだが、日本景気の全般的な失速が背景となっている。日経平均株価は前日比420円下げ、1万5661円となった。
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今年4月の消費増税から半年が経過したが、4〜6月期のGDPが7.1%マイナスとなったのに続いて、7〜9月期も依然低迷していることが判明しつつある。日銀が1日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、景況感を示す業況判断指数は大企業製造業を除き軒並み悪化、3カ月後の先行き指数も大企業製造業も含め厳しい予測となった。
1ドル=110円近辺への円安の進行も中小企業にはコスト増になる。「円安は日本経済に好ましいという固定観念があるが、この水準はそうではない」(三村明夫日商会頭)との見方が広がっている。大企業製造業は生産の海外移転が進み、円安になっても輸出の増大にはつながりにくい。輸出が増えなければ下請け企業の受注も伸びず、原材料など輸入コスト増だけがのしかかる。
家計調査によると、8月の実質ベースの消費支出は、前年同月に比べて4.7%減少した。8月の鉱工業生産指数も前月比1.5%低下し2カ月ぶりのマイナスに沈んだ。乗用車などの耐久財の生産や出荷も振るわず、市場関係者の間では、景気後退局面に入ったとの分析さえなされている。
政府・日銀はこれまで、7〜9月期に成長軌道に戻ると強調してきたが、回復どころか景気失速状況が続いているといえよう。(取材・編集/SK)