中国経済の崩壊はないが、GDPが米国を抜く日は来ない=中国の統計水増しか―元通産省北東アジア課長(上)

八牧浩行    2014年9月15日(月) 7時14分

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通産官僚時代に駐中国日本大使館参事官や北東アジア課長などを歴任した津上俊哉氏は、日本記者クラブで講演し、中国経済の高度成長は終了し「中国のGDPが米国を抜く日は来ない」と分析。政治、外交も含め今後の中国を大胆に予測した。

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2014年9月10日、通産官僚時代に駐中国日本大使館参事官や北東アジア課長などを歴任した津上俊哉氏(津上工作室代表取締役)は、日本記者クラブで講演し、中国経済の高度成長は終了し「中国のGDPが米国を抜く日は来ない」と分析。政治、外交も含め今後の中国を大胆に予測した。津上氏は「中国台頭の終焉」「中国停滞の核心」などの著作を通じて中国の経済社会の動向を辛口トーンで展望、精緻な分析力に定評がある。

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講演要旨は次の通り。

中国政府は、内陸の膨大なインフラ需要、都市化の進展、産業の内陸移転などにより日本韓国、台湾など他の東アジア諸国が中速度成長に移行した後の状態よりは高めの成長が続くと見ている。

中国では約10兆円を投入した過去5年間の投資ブームの後遺症が不動産や金融などの面で深刻化。無理な投資を続ければハードランディングに陥る。7.5%成長の継続は無理との認識から、中国当局はポストバブル期の経済運営の在り方を模索。景気下降は瀬在成長率の低下による構造的なものであり、今後は効率重視の中高速成長時代を目指すべきだとする「新常態(ニューノーマル)」論を展開している。

一方で、景気急落を避けるため、落ち込む投資を中央財政出動や特定銀行・用途指定の金融緩和などで補う政策を継続している。中央財政は外債に依存しておらず、資金力も豊富なので負債を積み上げても大丈夫だが、その先には、日本の財政の現在の姿に近い姿が待っている。改革が実現するまでの「時間を買う戦略」と言えるが、改革が進むかがカギとなる。

◆地方政府の債務危機、中央政府が救済

多くの日本人は中国経済が崩壊すると予想しているが、バブル崩壊はない。日本とは経済構造が異なり強力な権限を持つ中央政府が対応しているからだ。中央の財政も抜群に健全であり、地方政府の債務危機も上級政府が救済する。地方政府も5月から独自の市場救済策を講じている。銀行は国有であり、不良債権処理も最後は国庫が拠り所となる。

日本型の不動産バブル崩壊は起きない。ただ、上物の建設が落ち込み、建設、鉄、セメント、家電などの業界に影響を与える。中小開発業者の破たんの増加により、民間金融を中心に不良債権が増加。膨大な借り入れを土地収入に頼って償還している地方政府が債務危機に直面する。

長期的(2025年〜)には少子高齢化の影響が深刻化、日本の15年の時差で日本を追走する。実質成長が困難になる可能性が高い。一方で米国はシェールガス革命で経済が活性化し、移民受け入れで少子高齢化と無縁である。中国のGDP統計は水増しされており、中国の実際のGDPが米国を抜く日は来ないだろう。<「習近平体制は「救国政権」、中興の祖になるか?=不安定な日中関係は10年続く―元通産省北東アジア課長(下)」に続く>(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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