<日中世論調査>中国人の半数が「軍事紛争起きる」と懸念―「相手国にマイナス印象」日中とも依然9割前後

八牧浩行    2014年9月9日(火) 17時7分

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9日、日本の言論NPOと中国日報社は、共同で行った「第10回日中関係世論調査」の結果を発表した。日中関係は重要であると認識されているものの、尖閣諸島問題などが影響し、日本人(93.0%)、中国人(86.8%)ともに9割前後が「(相手国に)よくない印象をもっている」と回答した。

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2014年9月9日、日本の言論NPOと中国日報社は、共同で行った「第10回日中関係世論調査」の結果を発表した。日中関係は重要であると認識されているものの、尖閣諸島問題などが影響し、日本人(93.0%)、中国人(86.8%)ともに9割前後が「(相手国に)よくない印象をもっている」と回答した。ただ中国人の「マイナス評価」は昨年の92.8%からやや改善した。

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よくない印象の理由として、日本人は「中国は国際的なルールと異なる行動をするから」(55.1%)、「資源やエネルギー、食料の確保などの行動が自己中心的に見えるから」(52.8%)などと回答、最近の中国の海洋進出をはじめとする大国主義的な行動を問題視していることが分かった。一方、中国人は「釣魚(尖閣)島の国有化により対立を起こした」(64.0%)、「侵略の歴史をきちんと謝罪し反省していないこと」(59.6%)などが上位を占めたが、前回調査に比べこれらの回答は減少している。

日中間の最大の懸念材料については、日本人の58.6%、中国人の64.8%が「領土問題」と認識。両国民の大多数が領土問題の平和的解決を求めていることが分かった。また、政府間や国民間に「信頼関係がないこと」を阻害要因と見る人が日本人で約6割、中国人で4割以上に達した。2年半にわたり途絶えている日中首脳会談の必要性については、日本人の58.6%、中国人の52.7%が「必要である」と回答。両国世論は首脳会談開催を求めていることが分かった。

「日中間で軍事紛争は起きるか」との質問に対し、日本人の29.0%、中国人の53.4%が「数年以内に起きる」「将来的には起きると思う」と回答。前回調査と同様、軍事衝突に対する強い懸念が示された。

こうした中で、「日中関係を重要だ」とする回答は日本人70.6%、中国人65.0%に達し、ともに相手国の必要性に対し高い評価をしている。

言論NPOの工藤泰志代表は、この調査結果について、「日本と中国の国民間の直接交流が極めて少なく、相手国に対する認識はほとんど自国のニュースメディアからの間接情報に依存している。相手国に対する意識や日中関係の現状に関する認識は日本が悪化したのに対し、中国はやや改善したが、この10年間の調査を通して見ると、それぞれ悪化を深めている。国民間の意識は現実の政府間関係の情況に大きく影響し、特に中国でその傾向が目立っている」 と述べ、両国政府に対し、対話促進への努力を促した。

この調査は2005年から毎年実施されており、今年は7月下旬から8月上旬にかけて行われ、有効回答数は日本側が628人、中国側は1014人。

この調査結果を基に、言論NPOと中国日報社の共催の「第10回 東京―北京フォーラム」が9月下旬に北京で開かれ、両国の識者が「北東アジアの平和と日中両国の責任」をテーマに議論する。 (八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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