中国の患者はなぜ医師を目の敵にするのか―米メディア

Record China    2014年8月29日(金) 1時30分

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25日、中国では医師に対する暴力事件が増えているが、当局が黙認している節があり、医療事故をきっかけとする暴徒は野放しになっている。

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2014年8月25日、米誌ザ・ニューヨーカーは「中国の患者はなぜ医師を目の敵にするのか」と題した記事を掲載した。中国では医師に対する暴力事件が増えているが、当局も正義を追求する手段の1つだと見ている節があり、医療事故をきっかけとする暴徒は野放しになっている。26日付で中国紙・参考消息(電子版)が伝えた。

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2003年に中国政府は農村の医療保障制度を、2007年には都市住民を対象にした医療保障案を実施し、医療改革で国民の95%が医療保険の対象となったと誇らしげに宣言した。しかし、治療コストが上がり、多くの疾病で費用が以前よりも高くなった。また、農村部では医療機関の建設が追いつかず、都市部の病院の負担が増した。

都市部の病院に行けば適切な治療が受けられると期待したものの結果はそうはならず、憤慨する患者やその家族も増えることとなった。医師から納得のいく治療をしてもらえなかった経験を持つ人は多く、大規模な医療機関であれば、治療に不満があれば賠償を求めることもできるが、そうした正規の手段が取れなければ、患者は自ら抗議を行うことになる。

2011年9月に北京でがん治療を受けていた患者が医師を十数回も刺す事件が起きた。今年2月には南京で看護師が患者から暴力を振るわれ、半身不随となった事件も起きている。こうした事件は枚挙にいとまがなく、2002〜2012年で医療機関の職員に対する暴力事件は年23%も増加しており、各医療機関で年平均27件もの暴力事件が起きている。

中国の医療事情を研究している米コロンビア大学の専門家によると、医療機関に直接抗議した場合、裁判を通じて得る賠償金よりも多額の慰謝料が手にできるケースが多く、そのため、医療トラブルを専門的に起こす“プロ”を雇う場合もあるのだという。また、中国では通常ならばごく小規模な集会でも政府の許可を必要とするが、医療事故に関わる暴徒は一般に政府から黙認されており、賠償を求める有効な手段であると認識されている。

中国は高齢化が急速に進んでおり、医療支出の割合も増大を続けている。医療改革が失敗すれば、経済を逼迫(ひっぱく)させることになる。景気減速で消費を拡大させる必要に迫られているが、医療保険による保障がより十全のものとならない限り、中国の国民は貯蓄し続けるしかないだろう。(翻訳・編集/岡田)

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