「日本の陣地」タイに続々食い込む中国EV企業の背景と狙い―シンガポールメディア

Record ASEAN    2024年3月29日(金) 7時0分

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23日、香港メディアの香港01はシンガポールメディア・聯合早報に掲載されたものとして、中国の電気自動車(EV)産業がタイ進出を加速させているとする、日本人研究者の評論文章を掲載した。

2024年3月23日、香港メディアの香港01はシンガポールメディア・聯合早報に掲載されたものとして、自国内で生産過剰となっている中国の電気自動車(EV)産業がタイ進出を加速させ、これを足掛かりにアセアン域内の市場獲得を狙っているとする、日本人研究者の評論文章について伝えた。

文章の著者は、国士舘大学政経学部教授でタイの泰日工業大学客員教授を務める助川成也氏。文章は、長年「日本の陣地」と認識されてきたタイの自動車市場に地殻変動が起きているとし、昨年1年間にタイで販売された自動車78万台のうち中国メーカーが8万7000台と約11%のシェアを獲得したと紹介した。

そして、純電気自動車(PEV)を主とする中国メーカーが急速にタイ市場参入を進めている背景として、アセアンと中国との間で締結された自由貿易協定(FTA)とともに、タイ政府のEV助成政策があると指摘。タイ政府が今年または来年に現地生産を実現するという条件付きで輸入EVに補助金や物品税減免などの優遇措置を打ち出しており、これに中国企業が続々と応じたとした。

また、中国では国営、民営の大小さまざまな企業がEV市場に乱立して過度の競争が起きているほか、生産設備の過剰という問題も発生していることを紹介。業界再編の段階に入りつつある中、タイ市場は企業が生き残る上での一筋の光明になっているとした。さらに、タイ政府の助成のもとで現地生産を強化すれば、中国メーカーのEVが「タイ製」の看板を掲げてアセアン加盟国間の自由貿易協定が適用されるという「欧州などが警戒している」状況に至る可能性があるとも指摘した。

文章は、域内FTAの対象となるためには現地調達率40%という基準を満たす必要があるとした上で、中国メーカーが今後バッテリーをはじめとする各種部品の現地生産化を進めてこの基準をクリアすれば「タイ製」としてアセアン域内各国に輸出することができ、欧米などのメーカーとの競争で優位に立てる一方で、実現ができないようであればタイ国内での販売にとどまることになり、中国本土同様に複数のメーカーによる過度の競争、生産過剰という事態が発生しかねないと論じた。そして最後に「いずれにしても、アジアの自動車産業は巨大な過渡期を迎えつつある」と結んでいる。(翻訳・編集/川尻

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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