アベノミクスに正念場、予想超えるGDP下落―中国紙

Record China    2014年8月21日(木) 14時6分

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19日、日本の内閣府はこのほど、今年第2四半期の日本の国内総生産(GDP)の速報値を発表した。物価の変動などの要素を差し引いた実質値で、第2四半期のGDPは前期比1.7%減となり、年率換算で6.8%の縮小となった。資料写真。

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2014年8月19日、日本の内閣府はこのほど、今年第2四半期の日本の国内総生産(GDP)の速報値を発表した。物価の変動などの要素を差し引いた実質値で、第2四半期のGDPは前期比1.7%減となり、年率換算で6.8%の縮小となった。国際金融報が伝えた。

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このデータを受け、「アベノミクス」には大きなプレッシャーがかかっている。6.8%の落ち込みは、経済学者らの事前の予測をはるかに上回った。2011年3月11日の東日本大震災を受けて以来の最大の減少幅となる。四半期の成長率が減少に転じたのは2012年の安倍首相の就任後初めてだ。

日本経済はなぜ縮小に転じたのか。大きな要因の一つは増税である。少なくとも表面的にはそれが顕著に見て取れる。

日本の債務残高は世界最高に達しており、税収の増大は日本政府の重要な任務の一つとなっている。安倍内閣は、公共財政を支えるため、4月1日から新たな消費税策を施行し、消費税を5%から8%に引き上げた。この変化に応じて、物価は4月前から調整期に入っている。

3月には増税前の駆け込み消費が起こった。これにより、第1四半期のGDPは前期比2%増の好成績を記録した。だが一時的な消費ブームが収まったことで、国民消費は再び大きく縮小している。日本のGDPに占める国内消費の比率は60%と高く、消費の落ち込みはGDPを大きく引き下げている。さらには民間投資も税制改正の影響を受けて前期から大幅に減少し、このうち住宅投資は前期比10.3%減、企業の設備投資は同比2.5%減となった。

だが当の安倍首相は、これほど大きな下落は予想していなかったと見られる。英紙フィナンシャル・タイムズに寄稿した論文「私の『第3の矢』は日本経済の悪魔を倒す」で安倍首相は、かなり楽観的な見方を示していた。「私がよく聞かれる質問は、日本経済は、4月に実施された消費税増税に耐えうるのかというものです。1997年の場合と異なり、兆候は元気づけられるものです。夏の旅行の予約は昨年よりも好調です。私は、消費は多少落ち込んでも、一時的なものとみています」。

だが現実はそれに反している。少なくとも2つのデータが安倍首相の楽観論に冷水を浴びせている。第一に、今回の増税は1997年時より「元気づけられるもの」と言えるだろうか。データは、今回の増税後の状況が1997年の増税時よりもひどいことを示している。当時の第2四半期の経済縮小は年率換算3.5%だったのに対し、今夏は6.8%にのぼった。

第二に、夏季の旅行は過去よりも力強い伸びを示していると言えるだろうか。実際はこれとは違う。円安などの影響を受け、海外旅行に出かける日本人は減少している。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2014年上半期の日本の出国者数は801万6200人で、前年同期比2.9%の減少となった。

安倍首相は今後、「一時的なもの」というような虚言を何度も繰り返さなければならなくなるかもしれない。安倍首相はこれからも、新たな増税に直面することになっている。2015年10月に消費税引き上げを計画通り行えば、安倍首相の支持率はさらに下落するだろう。だがもしもGDP成長がうまくいかず増税を取りやめれば、国債の金利が高まり、日本の債務返済能力が低下し、日本に対する投資者の信頼が失われることとなる。

もちろんすべての罪を増税に着せるのはフェアではない。そのほかにもまだ、解決の必要な成長の制約要素がある。一つの根本的な問題は、庶民が「アベノミクス」の恩恵をまだ受けていないということだ。日本政府が最近、従業員の収入を上げるようと企業に対して異例の要請を行ったのも、それを証明している。安倍首相も、労働者の収入が増加しなければ、GDPの60%を占める国内消費が増加するわけはないということに気付いている。

安倍首相の放った矢はことごとく、庶民の利益を損なうものとなっている。円安や量的質的金融緩和で最大の利益を得ているのは企業である。企業のこの利益が自分に回ってくるのを待っている庶民に、安倍首相は増税措置を取った。増税されれば、商品の値段は上がる。少しばかり上がった給料はこれで、また取り上げられてしまう。

事実上、経済成長の利益を受けているのは一握りの人にすぎない。日本国内では、以前の国際競争力を回復するため、企業が給与引き下げや人員削減を開始し、非正社員の比率を拡大し続けている。日本政府の統計データによると、日本の就業人口のうち約30%が非正規雇用で、その給与待遇は正社員の3分の1にすぎず、こうした人々はいつ解雇されてもおかしくない。日本では、正社員に対する待遇は良いが、非正規雇用者の賃上げや額外の保障の提供は嫌がられる。多くの従業員の給料は上がってもインフレに追いつけず、需要が抑制されている。

「アベノミクス」の末路を安倍首相も感じ始めているのかもしれない。8月7日と8日、自民党石破茂幹事長は新潟県湯沢町で、自分と関係の深い約30人の議員を集め、研修会を行った。自民党の現総裁である安倍首相の同意なしに、30人以上の議員からなる「石破派」が作られたとは考えにくい。日本の政治屋は石破幹事長を安倍首相の政敵として描き出そうとしているが、「石破派」は彼らの使命をきちんとわきまえているはずだ。即ち、人を換えても政治は換えない、ということだ。(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/武藤)

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