ウクライナ戦争で唯一得をしたのは中国―独メディア

Record China    2024年2月27日(火) 5時0分

拡大

欧州では、ロシアの2021年2月24日の軍事侵攻で始まったウクライナ戦争について、2年が経過した現在、中国が「唯一の勝者」であることは明らかとする主張が出ている。写真は中ロ国境を通過する列車。

ドイツメディアのドイチェ・ベレはこのほど、ロシアの2021年2月24日の軍事侵攻で始まったウクライナ戦争について、2年が経過した現在、中国が「唯一の勝者」であることは明らかと主張する記事を掲載した。以下は、同記事の主要部分の要旨だ。

西側の「激怒」招かぬ程度にロシアと親密化

中国の公式見解として、ロシアとウクライナの戦争で中立を維持していると主張してきた。しかし専門家の間では、ロシアが勝利した方が中国の利益にかなうとの見方が一般的だ。ドイツの民間財団であるメルカトル中国研究センターで外交問題を研究するアビゲイユ・バスリエ氏は、「中国は、自らが有利な立場にあると考えている。もし戦争がロシアに有利な方向に進めば、西側が没落に向かっているという説が裏付けられ、中国が一躍世界第2位、ひいては世界一の強国になるために有利になる。だから中国はロシアの敗戦を望んでいない」と述べた。

この戦争はまた、中国が反西側陣営のリーダーになる上で有利に働いた。中国政府はしばしば、この戦争について「ウクライナ危機」と、希釈した呼称を使ったり、西側の拡大と覇権に起因するロシアの対応として美化したりしている。このような論法は発展途上国の多くで好まれている。中国の指導者は戦争が始まって以来、ロシアに手を貸しつつも、西側諸国の決定的な反発は招かない、極めて尋常ではないバランスを維持してきた。

中ロ両国の関係は親密化している。過去10年間で、習近平主席はロシアを9回訪問し、プーチン大統領は11回訪中している。多くの専門家はかつて、ウクライナ戦争が中ロ関係に影を落とすと考えていたが、実際には両国間の友情はさらに強固になった。西側諸国はロシアがウクライナ侵攻戦争を開始したことを受け、ロシアに対して一連の制裁措置を発動した。一方で、中ロ貿易は急増し。23年の貿易額は記録的な2400億ドル(約36兆円)に達した。

ウクライナは「申し訳程度のつきあい」だけの中国に反発

中国の指導者である習近平主席は、戦争が開始して1年後に初めてウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談をした。この電話会談には、むしろ中国が政治面でロシアを支持していることを示すものとの見方がある。

ウクライナ側で、中国が和平実現に向けて誠実な仲介努力を展開するとは誰も信じていない。ウクライナの民間では、中国に対する不信感がかなり広がっている。一方で、ゼレンスキー大統領とその外交チームは、中国政府との対話チャンネルを維持することはロシアを弱体化することにつながり重要だと国民に訴えている。これは賢明なやり方だ。ただし、1月にダボスで開かれた世界経済フォーラムでは、ウクライナ側がゼレンスキー大統領と中国の李強首相との会談を実現させようとしたが失敗した。ウクライナはゼレンスキー大統領と習近平主席が定期的に交流できるようにしたい考えだが、中国側は要請を一切無視してきた。

ウクライナでは、戦後復興の問題も考えられるようになってきたが、復興プロセスに中国を参加させることへの反対が発生している。ウクライナのシンクタンクの「新欧州センター」の創設者であるアリヨーナ・ヘティマンチュク社長は「ウクライナの最終勝利に最も貢献した国々が、復興プロセスへの参加で優先されるべきだ」との考えを示した。

ヘティマンチュク社長はさらに、ウクライナを中国の優先パートナーではなく、将来のEU加盟国にすべきであり、ウクライナが欧州化を推進し、新たなビジネス文化を確立し、法治国家を確立し、腐敗と闘うのを支援できる企業が参加すべきだと述べた。ただし、ウクライナがその時になって中国からの資金を本当に切り捨てることができるのかどうかは、今は不明だ。

EUの対中制裁は本格化するのか

EUは最近になりロシアに対する追加制裁措置を打ち出したが、中国企業も初めて制裁リストに加えた。制裁の対象となった中国企業3社は、武器に使用可能な電子部品をEUに輸出することができなくなった。EUによれば、これらの企業はEUの禁輸リストに含まれる電子部品をロシアに輸出してきた。

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長23年12月、中国に13の疑わしい企業のリストを渡して、中国がこうした企業とロシア側との取引を制止する措置を講じることへの期待を示した。EUは23年6月に香港企業3社に制裁を科したが、激しい議論の末、中国本土企業に対する制裁は見送った。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携