【イラストで知ろう!イマドキ中国】「東北大花」って知ってる?

人民網日本語版    2024年2月7日(水) 6時30分

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中国のニュースをこまめにチェックしている人は気づいているかも知れないが、このところ黒竜江省ハルビン推しがすごい。

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中国のニュースをこまめにチェックしている人は気づいているかも知れないが、このところ黒竜江省ハルビン推しがすごい。コロナ明けから本格的に旅行が自由になった初の冬シーズンということもあり、これまで以上に氷雪観光が注目されているということがその理由の一つだろう。また、2020年の北京冬季五輪開催を機に、全国的にウインタースポーツに対する関心が高まっていることも関係している。さらには2025年の第9回アジア冬季競技大会の開催地がハルビンということもあり、「ハルビン推し」となっているようだ。そしてその波及効果で東北エリアに関連した話題も注目されるようになっている。中でも赤や緑などの派手な色合いの花柄「東北大花」がにわかに若者の「気になるファッションアイテム」になりつつある。今回はそんな話題の「東北大花」について紹介していこう。人民網が伝えた。

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「東北大花」は本当に人気なの?

赤や緑の生地に、赤や緑、黄色、青といった派手な色合いで牡丹の花などがプリントされている花柄「東北大花」は中国の北方エリア、特に東北エリアで綿入れや掛け布団によく使用されている柄だ。これまでほとんどの人の目には「ダサい柄」と映っていたといっても過言ではない。しかし昨年末から、にわかに若者の人気を集めるようになった。

1つにはあるブロガーが「東北大花」のTシャツや服を着て、外国の街中を歩いたり、外国人にこの柄の上下スーツを着てもらった動画を投稿し、ネットで人気となったからだ。もう1つには上述したハルビン推しを受け、「東北大花」で飾り付けた特別観光列車や路線バスが打ち出され、景勝地では記念撮影する際のコスプレ衣装として、東北エリアの代名詞である「東北大花」の綿入れを着る人が増えたことも関係しているだろう。

ショッピングサイトを検索してみると、「東北大花」のスーツや中綿ジャケット、寝巻、エプロンなどがヒットした。どれも稀にみる派手さで、着るには相当の勇気が必要そうな気もするが、実は日本でもこの生地を使った「ゆったりチャイナワンピ」なるものが売られていた。ゆったりとしたワンピにすると、なるほどちょっとハワイのムームーのような感じになり、真夏のバケーションなら着られないこともない。中綿ジャケットに関しても、ワイドパンツに合わせて、ちょいとイケメンな若者が着ている写真を見ると、不思議とこれもアリかな?という気になってくる。売れ筋商品を見てみると、化繊の中綿ということもあり、値段もせいぜい120~300元(約2400~6000円)程度。これならひと冬の話題作り程度にちょっと買ってみる気にもなるのも納得だ。


「東北大花」、だけど生まれは上海

「東北大花」なので、東北エリアに昔からあった柄なのかと思いきや、その生まれはなんと上海!1950年代、上海のデザイナーらは「一般大衆の生活のニーズに沿ったデザイン」を生み出すため、農村を視察。そしてまず手始めに掛け布団カバーに使う大きな花柄などのプリント柄をいくつか打ち出した。そしてそのうちの一つが「東北大花」の原型となったのだ。

また、その派手な色合いは当時の捺染技術の事情と大きく関係している。当時、上海の捺染工場の多くは、まず生地全体を染めてから、抜染剤(還元剤)を入れた色糊をプリントし、その後、熱処理して、プリント部分の染料を分解し、地の色を抜く技法を採用していた。ただこの技法の場合、色は4~5色しか使うことができない。そのため、「東北大花」は赤または緑といった原色をベースカラーに、赤、緑、青、黄色を合わせた柄となった。

「ダサい」と思われがちな派手な柄と色合いの「東北大花」だが、実はその誕生の背後には、世界の捺染技術に追いつこうと奮闘していた上海の人々の存在があったのだ。


なぜ東北エリアの代名詞に?

ではなぜ上海で生まれた花柄の布が東北エリアの代名詞となったのか?その理由の一つが、ロシアからの影響だ。東北エリアは地理的にロシア文化の影響を大きく受けており、中国のほかの地域に比べて花柄の人気が高かった。

そしてもう一つの理由としては、東北エリアの農村のお年寄りの習慣だ。彼らは着られなくなった服の生地を縫い合わせては、掛け布団カバーを作っていたのだ。冬に使われる掛け布団にはいくつもの花柄の布でつぎはぎが当てられていた。これはまた素朴で倹約を美徳とする農村文化の特徴とも言えるだろう。

そして花柄と東北を結び付ける最大の理由となったのが、東北エリアで300年の歴史を持つ伝統的芸能「二人転」だ。「二人転」とは、通常男女2人がユーモラスな掛け合いをしながら、歌や踊り、曲芸などを披露する民間芸能で、当初は農村などでしか演じられていなかった。演者はなんとかしてそのパフォーマンスに農村ならではの要素を盛り込めないかと考えていた。そして目をつけたのが、農村の家庭で最もよく目にする派手な花柄だったという訳だ。また、赤と緑という非常に目立つ配色は、演者2人で演じる「二人転」のパフォーマンスにもピッタリな舞台衣装となった。その後、「二人転」が次第に民間から全国的に人気を博すようになり、この花柄が東北エリアの文化的な代名詞となっていった。

目がチカチカするような派手な色合いと、「二人転」をはじめとする東北ならではのユーモアとダサさの代名詞である「東北大花」。今回のにわかブームを機にちょっと調べてみたら、思いもよらない誕生秘話などを知ることができた。自分で着る勇気はまだちょっとないが、見慣れてくると悪くないと思うようになったのは、「東北大花」の持つポジティブなイメージ故かもしれない。(提供/人民網日本語版・文、イラスト/玄番登史江、袁蒙)

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