日本の経済界代表が訪中、李強首相「日中の協力推進」=十倉経団連会長「ビジネスで力強い進展」

八牧浩行    2024年1月31日(水) 7時30分

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日中経済協会と経団連、日本商工会議所の代表団が訪中し、25日に北京・人民大会堂で李強・中国首相と会談した。

日中経済協会と経団連、日本商工会議所の代表団が訪中し、25日に北京・人民大会堂で李強・中国首相と会談した。中国首相との会談は4年4カ月ぶりで、代表団は約180人と大規模だった。

李首相は会談の冒頭、「両国の関係、各分野の協力をより良く推進していくべきだ」と述べ、積極的な協力の必要性を強調した。

経団連の十倉雅和会長は日中間のビジネス拡大には「人的交流が大事だ」と指摘し、新型コロナウイルス禍で停止した日本からの短期滞在のビザ免除措置の再開を求めた。李首相は「人員の往来を便利にすることに賛成だ」としながらも、「ビザ免除は互いに対等に行うことが一般的だ」と言明。日本側とのセットで再開する相互主義に言及した。

日中経協の進藤孝生会長(日本製鉄会長)が現地法人幹部の身柄拘束や改正反スパイ法施行を念頭に「邦人の安全」確保を訴えたのに対し、同首相は「中国のあらゆる立法は国際的慣例に沿ったもので法に従ってさまざまな措置を進めている」と述べた。

十倉会長は会談後、「ビジネス環境について李首相から鋭意取り組むという力強い話があって有意義だった」と成果を強調した。

経済界、民間経済外交に注力「連携と協力を深めたい」

経済界は「民間経済外交」に力を入れており、今回の訪中を重要視。十倉会長は「両国が連携と協力を深め、共に成長するよう力を尽くしたい」などと呼びかけた。

中国側も日本企業の投資を求めており、中国国際貿易促進委員会の任鴻斌会長は「経済と貿易の協力が新たな段階に進むことを信じている」と期待した。

経済界代表団は26日、中国の産業政策を担う工業情報化省と意見交換の会合を開いた。金壮竜・工業情報化相は日本企業と半導体や自動車などのサプライチェーン(供給網)の強化で協力したい意向を示した上で、「中国と日本の産業協力の将来には大きな可能性がある。中国は巨大な市場を有し産業システムなども完備。日本はハイテク分野で優勢だ」と指摘。具体的な協力分野として半導体、自動車、新エネルギー、石油化学、デジタル技術などを列挙した。

会合では中国のデータ越境を巡る統制が議論の中心となり、日本側は中国法人の事例を挙げながら、規制の弾力的な運用を求めた。金氏は企業側と協議し、できるだけ規制を緩和する考えを示した。

国家発展改革委員会副主任「日中の供給網は深く融合、協力すべきだ」

経済界の代表団は24日、北京市内で中国のマクロ経済政策を主導する国家発展改革委員会と意見交換の会合を開いた。同委の劉蘇社副主任は「中国と日本のサプライチェーンは深く融合しており、双方は協力を深めるべきだ」と呼びかけた。

十倉会長は「中国は貿易、投資を通じた最重要なパートナーであり両国が連携と協力を深め、共に成長するよう力を尽くしたい」と述べ、少子高齢化や人口減少など両国が直面する課題での協力の必要性を訴えた。

日本企業(中国)研究院の陳言執行院長は「中国は想像以上のスピードで発展し、規模や技術レベルも大きく変化している」と指摘。日本の経済界はどの分野でどのように中国との経済関係を再構築するかを考えてほしい」と要望。「電気自動車(EV)や電池技術、5G通信、バイオ医薬品などの最新技術を含む新興、先進分野で、中国との新たな協力を構築するか特に注目している」と述べた。

日本にとって中国は最大の貿易・投資国。中国側も日本企業との連携に意欲を示し、人的交流が進展したのは意義深い出来事だったといえよう。

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

※本コラムは筆者の個人的見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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