日本の大学の中国人博士二人の論文を書籍化―『日本王朝物語に見られる異界譚』など

日本僑報社    2024年1月29日(月) 19時30分

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日本僑報社は二人の中国人女性博士の博士論文を書籍化し、今月から日本全国書店にて発売します。

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日本僑報社は二人の中国人女性博士の博士論文を書籍化し、今月から日本全国書店にて発売します。

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一橋大学大学院の博士論文『日本王朝物語に見られる異界譚』と筑波大学大学院の博士論文『日本語連体修飾節を中国語に訳す為の翻訳パターンの作成 ―被修飾語の意味役割に基づく新提案―』です。

『日本王朝物語に見られる異界譚』は『竹取物語』『うつほ物語』『源氏物語』『浜松中納言物語』『松浦宮物語』といった日本の王朝物語を題材としています。今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』が『源氏物語』の作者・紫式部を題材にしており、ちょうどタイミングの良い刊行となりました。

■『日本王朝物語に見られる異界譚』

日本僑報社

【内容紹介】

千年前の人たちは未知の世界をどのように認識し、想像していたのか。そして文化交流の足跡はどのようであったのかを追跡することは重要な意義がある。人間世界の範疇における未知な土地・場所、または人間世界の時間・空間から飛び出し、神仏、妖怪、鬼、死者が存在する場所は、異界の領域に属する。異界譚の研究は人間の未知の領域に対する研究であり、それを通して当時の作者たちの文学の教養、想像力、異国と神仏世界への認識を知ることができる。それは文学を手段として、人と人、人と地域が交流し、融合した結果であると言える。本書は『竹取物語』『うつほ物語』『源氏物語』『浜松中納言物語』『松浦宮物語』といった日本の王朝物語を題材に選び、それらの中に見られる異界譚を現代の視点で捉え、現代社会との結びつきを探ることによって、王朝物語の異界譚についての斬新な視点や思考を提供する研究書である。

【著者紹介】

張 永維(ちょう えいい)1993年生まれ、中国ハルビン市出身。中国吉林大学外国語学部日本語学科卒業、南開大学大学院日本言語文学研究科日本古典文学専攻修士課程修了、一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了、博士(学術)学位取得。一橋大学特別研究員を経て現在上海外国語大学区域国別研究院に勤務中。専門は日本古典文学、和漢比較文学。

■『日本語連体修飾節を中国語に訳す為の翻訳パターンの作成 ―被修飾語の意味役割に基づく新提案―』

日本僑報社

【内容紹介】

第19回華人学術賞受賞作品である本書は、日本語の連体節を中国語に翻訳するための翻訳パターンを構築した実践的な言語研究成果である。従来の翻訳手法が主観的な要素に依存している点に着目し、客観的な要素を取り入れた翻訳方法を提案している。具体的には、被修飾語の意味役割、主節と連体節の事態の時間的関係、被修飾語の語彙情報など、翻訳に影響を与える客観的な要素を考慮しながら、日本語の連体節を中国語に翻訳するための翻訳アプローチをフローチャートの形で提案し、アンケート調査などの形でそのアプローチの実行可能性を検証した。

「直訳」「意訳」「分訳」「非分訳」の関係を整理し、「分訳法」と「非分訳法」それぞれに適用する翻訳パターンと各パターンの適用条件を明示化した。また、研究の焦点を内の関係連体節と命題補充型連体節の2つの主要な日本語の連体節構文に置き、これまでに見過ごされてきた側面を詳細に考察した。

総じて、本研究の成果は、限られた視野内で特定の視点から、翻訳の実務に関する限定的な示唆を提供している。また、異なる言語や文化の交わりを考慮しながら、今後の翻訳手法の進化に対する可能性を示すことを意図している。学界および実務界で注目を集める、翻訳アプローチへの新たな開拓に期待する一冊。

高橋弥守彦・日中翻訳学院院長、大東文化大学名誉教授は、次のように推薦文(抜粋)を寄せている――「先行研究と大量の言語事実に基づき、読者に分かりやすく、言語資料を駆使した科学的、論理的な一冊。」

【著者紹介】

谷 文詩(こく ぶんし)北京航空航天大学外国語学部講師。1992年中国河北省生まれ。北京理工大学日本語学部卒業。北京大学日本語MTIセンター日本語通訳翻訳修士課程修了、学位取得。筑波大学人文社会科学研究科博士課程修了。博士(言語学)学位取得。専門は日中言語対照研究、日中翻訳。

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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