【観察眼】映画館の活気は中国経済の活力でもある

CRI online    2024年1月24日(水) 17時40分

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2023年の中国映画産業の年間興行収入は約549億1500万元で、過去4年の最高額となっている。

中国国家映画局の最新発表によると、2023年の中国映画産業の年間興行収入は約549億1500万元(約75億7100万ドル)で、過去4年の最高額となっている。観客動員数は12億9900万人で世界1位を保っている。また、2023年末現在、中国のスクリーン数は前年比2.75%増の8万6000スクリーンを超え、過去1年だけでも新たに2312スクリーンが増えている。中国の興行収入は世界でも2位につけており、主要映画市場で上位を保ち続けている。

好調の背景には、映画市場の持続可能な発展に向けた各界の取り組みがある。

まずは政策による後押しである。

農村部や高齢者など、特定の地域やグループに向けた無料上映や、映画事業発展特別資金(興行収入の5%を徴収)の暫定的な免除、および補助金の配布などの政策が適時打ち出され、実行に移されたことで、映画産業の生産能力の速やかな回復が促された。そのため、2023年の中国の映画製作本数は年間971本(そのうち、劇映画は792本)に上り、史上最高だった2018年の89.74%(そのうち、劇映画は87.8%)まで回復してきている。さらに、年間の興行収入が3000万元(約6億1500万円)を上回った映画館は、過去3年は毎年10館以下だったが、2023年には22館に増え、映画館の経営状況が好転しつつあることが示されている。

次に、配給体制の改革面で、たゆまぬ努力が払われている。2023年で最も注目される改革は、配給体制の変革だ。中国の映画配給は、従来は統一的な配給と上映という体制だったが、昨年10月からは映画館ごとに異なる映画を配給、上映するという制度に正式に切り替わった。それにより、商業映画市場のいっそうの細分化と差別化の確立のためのしっかりとした環境が整備されつつあると期待されている。

2023年の中国は、国産映画と外国映画の百花斉放で、奇麗さを競い合ったことも特徴であった。

まずは、優れた国産映画が数多く上映されたこと。これらの映画にはSF大作もあれば、唐代の詩人・李白とその友人たちを取り上げたアニメーション映画、海外に拠点を置く特殊詐欺事件や犯罪を題材にした社会派映画もあり、内容や視点が極めて豊富であった。

次に、海外映画の導入スピードの速さが挙げられる。

例えば、クリストファー・ノーラン脚本・監督の映画「オッペンハイマー」や米人気歌手最新ツアー映画「テイラー・スウィフト:THE ERAS TOUR」などの話題作が、いずれもワールドプレミアからわずか1~2カ月で、中国で公開されている。

近隣である日本との映画交流は、もっと盛んな勢いを見せている。2023年の新作アニメ映画「すずめの戸締まり」「THE FIRST SLAM DUNK」の中国での興行収入は、それぞれ8億700万元(約157億円)と6億6000万元(約132億円)で、前者は日本国内の興行収入を上回り、後者は日本国内での興行収入に迫る金額となっている。

これだけではなく、名探偵コナン、ドラえもん、クレヨンしんちゃん、宮崎駿アニメなど、以前から中国でも多くのファンを持つ名作も相次いで導入され、安定したファン層を誇っている。また、さまざまな形での映画祭や上映イベントを通じて、「銀河鉄道の父」「夜明けまでバス停で」「PLAN75」「湯道」など、2022年、2023年に日本で公開されたばかりの話題作も中国にお目見えしている。新海誠監督らをはじめとして、多くの日本の映画人も中国の映画館に姿を見せ、対面あるいはオンラインで中国の映画ファンとの交流に臨んだ。

さらに、海外映画のリメークも2023年の中国映画の動向の特徴の一つだ。大まかな統計によると、過去1年の国産映画の話題作のうち、「忠犬ハチ公」を含め、少なくとも11本が海外映画のリメークだった。中国の国産映画は世界映画を垣間見る「窓」の存在になったという声さえ聞こえる。

中国の映画産業が歩んできた道を振り返ってみると、見逃せない気づきがある。

まずは競争による体質の強化である。外国映画との競争により、国産映画の質と水準が高まり、競争力がいっそう強まった。もう一つは、世界との交流の中で融合しあい、互恵ウィンウィンの関係が築かれていることだ。その中で、中国のオリジナルIPは海外からも注目を浴びている。例えば、昨年の東京国際映画祭で上映された日本映画「ゴールド・ボーイ」は原作は中国のベストセラー作家・紫金陳の代表作「バッド・キッズ(坏小孩)」だった。また、中国のコメディアンで、映画監督でもある賈玲の代表作「ニイハオ、李煥英」の英語でのリメーク権はすでにハリウッドに購入されている。なお、今年の旧正月に上映予定の賈玲の新作映画「熱辣滾燙(Hot and Hot)」は、日本映画「百円の恋」をリメークしたものだ。こうして、中国と外国の映画関係者の交流が世界の映画業界を繁栄させ、スクリーンをいっそう豊かなものにしていると言える。

中国では間もなく、旧正月の春節がやってくる。映画業界にとって、一年の中でも最大のかき入れ時となる「春節映画」が間もなく幕を開ける。今年は8本の新作映画が上映される予定で、目移り感もあると同時に、首を長くして待っているファンも多い。

映画産業は中国経済の縮図である。映画館の活気は、中国経済の活力そのものの表れである。新しい年も、中国の映画産業の活況に期待したい。(提供/CRI

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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