海軍出身の董軍国防相の登場に「米中の緊張緩和に有効」「軽量級」などの見方

Record China    2024年1月1日(月) 7時0分

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中国では董軍氏が国防相に就任した。海軍出身であることや地位の面で異例の人事とも言える。董国防相の登場については中国国外で、「米中の緊張緩和に有効」「軽量級」などの見方が出ている。

中国全国人民代表大会常務委員会は2023年12月29日、董軍氏を国防部長(国防相)に任命した。董軍氏は海軍出身で、2021年9月から解放軍海軍司令官を務めていた。香港メディアの香港01は中国国外における報道を整理するなどで、董軍国防相の果たすであろう役割などについての予想を紹介した。「米中の緊張緩和に有効」「軽量級」などさまざまな見方が出ているという。

「ウォール・ストリート・ジャーナル」「ニューヨークタイムズ」などはいずれも中国国防相の重要な任務の一つは米軍と意思疎通し、米中の緊張が制御不能になることを防ぎ、両軍が南シナ海や台湾周辺で遭遇した際に、判断を誤って戦火を交えることのないようにすることと報じた。

シンガポール南洋理工大学の李明江准教授は、「董軍氏はその背景と経験から、米中の近距離における軍事接触をどのように管理するかを熟知している。国防長への就任は両軍のリスク管理に役立つ」と述べた。

中国国防相の主な責務は、外国の国防相や軍事上層部と意思疎通し、メディアに姿を見せることだ。国防部については、軍事外交をより多く扱うようになったとの指摘がある。

米ワシントンにあるシンクタンクの大西洋評議会の宋文笛研究員は、「中国の国防相は一般に、中央軍事委員会委員、国務委員、国防相の3職を兼任している。董軍氏は現在のところ国防相の役職だけなので、『軽量級』の国防相だ」と指摘した。

軍事は大きく「軍政」と「軍令」に分けられる。「軍政」とは、軍関連の予算や人事などを統括する作業で、軍事行動を統括する作業が「軍令」だ。中央政府として軍政を担当するのが国防部で、そのトップの国防相に董軍氏が就任したことになる。軍令を統括するのは中央軍事委員会で、現在のトップは習近平同委主席だ。

国務委員とは中国中央政府で、副主席の一つ下で一般の部長(閣僚)よりも一つ上の職位だ。それぞれの国務委員は担当分野を持つ。一般閣僚が出席権を持たない中央政府の重要会議の出席権を持つことから「国務委員以上が事実上の閣僚」とする見方もある。

米シンクタンクの「アジア協会」のモリス研究員は今回の国防相人事について、「中央軍事委員会のメンバーでない人が国防長になった前例はない。従って董軍は24年3月の両会(全国人民代表大会・中国人民政治協商会議)で中央軍事委員会に抜擢されることになるだろう。これは異例の昇進だ」と述べた。

また中国国外の専門家からは、董軍氏は米中のリスク管理に貢献するだろうと判断されたからこそ、国防相に抜擢されたのであり、董軍国防相の登場は、中国の軍思想にある種の変化を示すものである可能があり、董軍国防相は重要な役割を担うかもしれないとの見方が出ている。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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