<世界大激震(上)>米中「共存」、中韓露「共闘」、日朝「接近」―敵の敵は味方?従来の常識が通じない

八牧浩行    2014年8月14日(木) 7時20分

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東アジアを中心に世界で地政学的な地殻変動が起きている。日本は多くの国との「価値観外交」を展開しているが、近隣の中国と韓国とは関係が悪化した状態が続いている。米中は事実上「対立的共存」に踏み出した。こうした中で日本が志向すべき道を探る。資料写真。

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東アジアを中心に世界で地政学的な地殻変動が起きている。日本は日米同盟の強化や多くの国との「価値観外交」を展開しているが、近隣の中国と韓国とは関係が悪化した状態が続いている。米中は事実上「対立を対話で解決する関係」に踏み出した。激動する国際情勢を読み解いた上で、日本が志向すべき道を探る。

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米国と中国の関係は一見対立しているように見えて、水面下で手を握り合っているのが実情。米国は、中国の海洋進出やサイバー攻撃などを問題視し、国際政治経済の各種ルールの順守を中国に期待しつつも、「中国を封じ込めることはしない」(ケリ―国務長官)としている。7月上旬に北京で開催した米中戦略・経済対話に多くの主要閣僚とイエレンFRB(連邦準備制度)議長ら百人以上が出席、(1)中国は事情により為替介入を削減する一方、米FRBは金融緩和の対外的影響に配慮する、(2)情報技術合意を拡大し、相互投資協定について交渉を進展させる、(3)エネルギーや大気汚染、地球温暖化問題での協力―などで合意した。

中国は米国と厳しい対立があっても衝突せず、対話で解決する「対立的共存」方針のもと、米中が互いに干渉せずに利益を追求する世界を志向している。国内向けには対立姿勢を見せつつ、米国の対中武力不使用を改めて確認する必要がある。その点、7月の米国との戦略経済対話は成功したと見ている。米国も中国との「新型大国関係」を事実上受け入れている。

米中にとって共通の最優先課題は朝鮮半島の非核化。外交関係筋によると、米国は昨年末、「核開発を放棄して生き残るか、核開発を続けて崩壊の道を歩むのか」との選択を北朝鮮に迫るべきだと中国に要請、原油の供給をストップするよう求めたという。核開発継続や北朝鮮の親中派改革開放論者・張成沢氏の粛正などを問題視した習主席がこれに呼応。石油の供給を今年に入って極端に絞ったことが中国の貿易統計で明らかになった。

また、今年の1〜6月期中朝間の貿易総額が178億元(約2946億円)と前年同月比4.0%減となった。

習近平主席は朴槿恵大統領と蜜月関係にあり、慣行を覆し韓国を北朝鮮より先に訪問した。米中は「韓国による朝鮮半島統一」の方向に舵を切ったとの見方さえ出ている。

北朝鮮の金正恩政権は、頼みの中国に袖にされたために、「拉致問題の解決」を呼び水に日本に接近。経済支援が目的である。日本には拉致問題打開につなげようとの狙いがあるが、米国、韓国はもちろん中国までもが実際は日本の突出した経済制裁緩和への動きを強く懸念している。

一方、ウクライナのクリミアを支配下に置いたロシアプーチン大統領も極東での勢力拡大へ野心をあらわにし、シベリア開発のため、中国との間で投資促進と天然ガスの長期供給などで合意している。

こうした中、中東情勢が緊迫化し、米国はイラク北部の過激派「イスラム国」への空爆をよぎなくされるなど、他の地域に関与する余裕がなくなっている。

◆「反ファシズム」「戦勝国」共闘推進へ

BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)5カ国はブラジルで開催された7月の首脳会議で、独自の開発銀行を設立することで正式に合意した。アジアやアフリカなど途上国のインフラ整備を支援する。国際社会での影響力を強め、世界銀行、IMF(国際通貨基金)など米国が主導してきた戦後の国際金融秩序に対抗することで一致した。

その一方で、中国とロシアは第二次世界大戦後の国際政治秩序維持を前面に外交戦略を打ち出している。第二次世界大戦の「戦勝国」を強くアピールする戦略で、「2015年に反ファシスト戦勝70周年記念大会を盛大に行う」ことを確認し合っている。中露両国は戦勝国の立場をともに強調し、尖閣諸島と北方領土を「戦後処理」の結果、戦勝国(中露)に帰属することになったと主張。敗戦国・日本の「固有の領土である」との主張に対し「反ファシズム」「戦勝国」をキーワードに共闘していこうという作戦だ。これは戦後レジーム(体制)の再確認を意味し、中ロ韓3カ国と領土問題を抱え、中韓とは歴史認識をめぐってぎくしゃくしている日本にとって看過できない動きである。<下>に続く(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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