<日本人が見た新疆>新疆の苦悩と光

Record China    2023年12月21日(木) 15時30分

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中国駐大阪総領事館が企画した新疆ツアー第二陣が9月に行われた。ツアーに参加した黒住章子さんは、新疆ウイグル自治区で見たこと、感じたことをつづった。写真はカシュガル。

中国駐大阪総領事館が企画した新疆ツアー第二陣が9月に行われ、参加者はカシュガル古城、エイティガールモスク、カシュガル市老城区保護総合治理紀念館などを訪れた。

ツアーに参加した黒住章子さんは、新疆ウイグル自治区で見たこと、感じたことを以下のようにつづった。

新疆ウイグル自治区への旅は以前からの夢だった。新疆に何度も行ったことのある知人から、新疆はおいしい果物が豊富で素朴な美しい所だと聞いていたし、中国のショート動画で新疆の素晴らしい自然を繰り返し見ていたからだ。

日本の報道では、新疆といえば人権問題、強制労働、ジェノサイドというきまり文句が並び、いつも同じ出所の不明な写真が映し出される。メディア信仰の強い日本人の多くはそれを真に受けているようだ。私自身は日ごろから中国のさまざまな現地情報に触れているし、新疆の文化などを長年研究し頻繁に往来している日本人専門家の講演記録や報道の欺瞞を検証する資料などを読むことで、そのような事実はないと確信していた。しかし、やはり百聞は一見に如かず。自分の目で見ることで、誰にでも堂々とその確信を話せるようになると思ったのだ。

今回の新疆の旅は、主都ウルムチからスタートした。私はまず初日にそこで想像以上の事実に直面し、強い衝撃を受けた。それは「新疆的反恐和去极端化斗争(新疆におけるテロリズムと過激主義に対する戦い)」という記録展示の参観だ。そこで思い出した。確かに、日本でも20年前ごろには新疆でのテロ事件の報道が度々あったような記憶がある。その時は私もまだ新疆の地理的知識もなく、何となく危険な場所というイメージだけを持っていたような気がする。そのうちそのような報道を目にすることも徐々になくなり、その時のイメージも薄らいでいつの間にか忘れてしまっていたことに気づいた。そうだ、新疆はかつて悲惨なテロ事件が頻発していたのだ。

その展示ホールの中でひときわ目に入ったのは、1990年に始まる暴力テロ事件の詳細な記録だった。日時、場所、被害の実相、そして現場の生々しい写真。一つ一つの事件が詳しく記録されたパネルがずらりと並んでいた。写真はあまりにも悲惨で、直視することができないほどだった。その記録を見ていくと、ほぼ毎年、時には年に数回も各地で大きな事件が起きている。それがなんと2016年まで続いていたのだ。公安や役所のみならず、駅や広場、朝市の街角、宗教施設、交通機関などあらゆる所を標的にした無差別殺人テロだ。他にも、実際に武器として使われた大小さまざまな刀類、銃、自作爆弾などが大量に展示してあり、現場の恐怖がよみがえるようだ。

これほどの長期間にわたりテロの恐怖にさらされていた、この新疆の人々の不安感はいかほどのものだったかと想像すると、言葉では言い尽くせないものがある。そしてそれが収束した頃から、まだ10年もたっていないのだ。かつて新疆ではテロ事件が頻発していた、というかすかな記憶を凌駕する事実を知り、私は心底驚き、その事実の重さをひしひしと感じた。

私たち一行はこの日をスタートとして、各地の名所旧跡を訪ねながら西へ向かって移動し、トルファン、クチャ、アクス、カシュガルへと都市をたどって行った。どこまでも続く大平原に、きれいに整備された高速道路がどこまでも伸びている。観光に来たであろうバスや自動車に交じり、巨大なトラックがたくさんの荷物を積んで物流を担っている。それぞれの都市は古い街も残しつつ、幹線道路を整備し、植栽を整え、近代的な街づくりを進めていた。私はまさに今発展しつつあるこの新疆の地域を眺めながら、あの数々のテロ事件を克服し、社会の平和と安定を維持している新疆の人々の努力を思わずにはいられなかった。

実際、新疆でのセキュリティーチェックはかなり厳重だ。空港、駅、高速道路など、少しの可能性も見逃さない厳密な仕事ぶりだった。また、街の要所にはたいてい公安の車が停まっていて、人が集まる場所では必ずパトロールをしている。ホテル近くの公園でまだ薄暗い時間から始まっていた朝市にも、やはり公安のパトロールが来ていた。初日にあの展示を見ることができたことで、そういう街の状況をより理解することができたと思う。このような日々の努力の積み重ねによってテロを防止し、街の平和を守っているのだ。

世界中どの国、どの社会にも矛盾や問題は存在する。それをなんとか調整しながら、国民に社会の安定と日々の生活環境をいかに確保し提供するかが政治の最大の役目なのではないだろうか。自然の雄大な美しさ、シルクロードに象徴される古代文明の奥深さ、さまざまな文化が共存する街のにぎわいなど、新疆の魅力を再認識した今回の旅であった。それと同時に、多民族社会としてこれからいかに発展していくかという課題に取り組み、地域の特性や地の利を活かして前進する新疆ウイグル自治区の力強さを知ることができたのは、今回の大きな収穫であり学びであったように思う。新疆は大きくて多様だ。次回行った時にはまたどのような発見ができるか、今から楽しみにしている。

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